片麻痺患者の視覚依存

片麻痺患者は筋の過緊張や弱化がみられると、姿勢保持に視覚依存することが多くなります。

・眼球を動かすと姿勢が乱れる
・閉眼すると姿勢の動揺が強まる
・視線は固定的で周囲を見渡すことが難しい

このような現象は、姿勢制御において過剰に視覚依存を強めている可能性があります。

セラピーにおいても、視覚の影響を考慮しながら進めていくことが大切と考えます。

【姿勢制御】片麻痺患者の視覚依存

片麻痺患者の視覚依存について[1]示されています。

視覚からの情報を遮断する、または視線を動かすなど、姿勢の乱れと視覚の影響を観察しましょう。

セラピーの組み立てにおいても、視覚を考慮した課題や環境設定が必要です。

視覚を考慮する場合、「なぜ視覚に依存しているか」を分析する視点が重要です。

視覚依存がケースの代償戦略である場合、背景となる要因があるはずです。

この検証過程はセラピーターゲットを絞り込む上でポイントと言えます。

姿勢制御における感覚の影響

 

立位の姿勢制御は、動的な感覚運動プロセスに基づく複雑なスキルです。

「真っ直ぐ立つ」という何気ない動作が、片麻痺患者ではいかに難しい動作であるかを常に思い知らされます。

支持基底面から重力を知覚し、中枢神経系の相互作用によって最適なアライメントや筋緊張が制御されています。

姿勢は多重感覚入力の結果であると言えます。

視覚以外の感覚入力との関連性を捉えることは重要と考えます。

姿勢制御における感覚の重み付け

感覚の重み付けは、課題・環境の変化によって相対的な依存度は変化することが考えられます。

視覚を遮断すれば、前庭・体性感覚への依存度を強めることで姿勢を保持しようとするでしょう。

片麻痺患者において、筋肉の不活性により視覚依存を強めているのであれば、セラピーターゲットは体性感覚となります。

視覚・前庭・体性感覚の相互作用を考慮し、視覚依存の要因を分析していくことが大切です。

姿勢制御システムの構成要素

姿勢制御システム全体を捉えると、先に述べた「視覚・前庭・体性感覚」は一部であると言えます。

多重感覚入力により変化する内部表象、外部環境による垂直性の変化など、感覚運動の相互作用を捉えつつ分析していくことが重要と考えます。

臨床経験

姿勢保持のための、視覚代償は悪いことではありません。

適切に利用すれば、姿勢・動作の安定に貢献できます。

セラピストは、過度に依存しているケースを見極めることが重要と考えます。

例えば、筋活動は十分に活性化し、バランス機能は回復しているものの視覚依存に変化がみられないなど。

機能回復にあわせて、視覚を考慮したプログラムを組み立てましょう。

まとめ

本日は、姿勢制御における片麻痺患者の視覚依存について書きました。

臨床場面では、「下を向かないで顔をあげましょう」と何気なく声掛けしていたことがありました。

・視覚依存の背景となる要因を分析すること
・過度な視覚依存を見極めること

ここが大切なポイントと考えます。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Isabelle V Bonanb et al.Reliance on visual information after stroke. Part I: Balance on dynamic posturography.Arch Phys Med Rehabil.2004

2.Laurie Lundy-Ekman,Neuroscience – E-Book: Fundamentals for Rehabilitation.Elsevier Health Sciences, 2013-p256

3.Fay B Horak.Postural orientation and equilibrium: what do we need to know about neural control of balance to prevent falls?.Age Ageing.2006

4.Jean Massion.Postural control system.Current Opinion in Neurobiology.1994