リーチ動作と肩甲骨の動き

効率的なリーチ動作は、肩甲骨と上腕骨が協調的に動けることが大切です。

そのため、アライメントや筋肉の評価を適切に行う必要があります。

臨床的に、肩甲骨と上腕骨が動きのシークエンスにおいて、どのように同期しているかを理解しておくことが重要です。

本日はリーチ動作と肩甲骨の動きについてのポイントをまとめます。

肩甲骨のアライメント・動き

肩甲骨のアライメント・動きを確認しています。

肩甲骨の動きは3次元で捉えつつ、動きを確認していくことが大切です。

リーチ動作において、上方回旋−下方回旋、前傾−後傾がどのように同期しているかは見落とさないようにしましょう。

動く前のアライメント評価も大切です。

脊柱と内側縁の距離、上角と第1胸椎の位置関係、下角と第7胸椎の位置関係

など、左右差を捉えていきましょう。

静的なアライメント評価は、動的な運動パターンの結果です。

「なぜ、そのようなアライメントになっているのか?」

と動きとの因果関係を考えるとセラピーのヒントになります。

肩甲骨の運動パターン

肩甲骨の運動パターンは、上腕骨との関係性の中で捉えることが重要です。

例えば、肩関節に痛みを訴える場合、角度によって痛みの有無が異なることがよくあります。

上腕骨の角度によって、肩甲骨がどのように同期しているかを知識として知っておく必要があります。

【肩関節角度(肩甲骨の動き)】
・〜30°(下方回旋)
・30°〜120°(上方回旋)

リーチ動作の開始は、肩甲骨のセッティングが重要であると言えます。

臨床的に、scapula planeとsagital planeの設定を分析にうまく取り入れると、セラピーの効果・効率性が格段にあがります。

疾患問わず、大切な知識ですので、十分に理解しておきましょう。

内転と下方回旋 筋肉

動きを捉える上で、筋肉は大切です。

基本中の基本ですが、内転と下方回旋に作用する筋肉を再確認しておきます。

繰り返しですが、三次元で捉えつつ、動きを確認していきます。

臨床的にセラピストが感じる動きは、ごくわずかかもしれません。

しかし、わずかな動きの変化で痛みが軽減したり、リーチ動作に変化が起こることは多く経験します。

根拠をベースに実践しながら、仮説検証を繰り返しましょう。

外転と上方回旋 筋肉

こちらは、外転と上方回旋の筋肉です。

片麻痺患者さんに、前鋸筋の弱化により、肩甲骨の内側縁が浮き上がっているケースは多く観察されます。

また、前鋸筋に短縮により肩甲骨内転の制限につながっていることも多く経験します。

肩甲骨の支持基底面は胸郭と捉えることができます。

支持基底面に対し、後傾を維持しながら肩甲骨が動けているは大切なポイントです。

片麻痺患者のリーチ動作

片麻痺患者のリーチ動作は、さまざまな代償パターンが観察されます。

・リーチ開始に肩甲骨の挙上を強める
・リーチ動作中の体幹屈曲を強める
・リーチ動作中の体幹非麻痺側への側屈を強める

まずは、リーチ動作を全体像で捉えていきましょう。

選択されるリーチ動作の軌跡には理由があるはずです。

数あるリーチ動作の軌跡の中から、

「なぜ、この軌跡を選択するの?」

「その軌跡は、最短か?」

「その軌跡は、効率的か?」

と深堀しつつ運動の最適化を目指しましょう。

根拠をベースに実践していても、セラピーがうまくいくとき、いかないときがあります。

うまくいかないときは、なにか見落としている部分があるかもしれません。

うまくいくときは、なぜ良かったのかを答えられるようにしていくと次につながると思います。

まとめ

本日は、リーチ動作と肩甲骨の動きについてまとめました。

基本中の基本ですが、アライメントや筋肉は大切です。

上腕骨と肩甲骨の運動パターンを分析していくことは難しいかもしれませんが、繰り返し丁寧に分析していましょう。

 

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Paul A. Borsa,et al.Scapular-Positioning Patterns During Humeral Elevation in Unimpaired Shoulders.Journal of Athletic Training,2003

あわせて読みたい