【肩甲骨の非対称性】アライメント評価と運動方向

肩甲骨は、足・体幹から上肢・手へと力を伝達する運動連鎖の役割として重要です。

・「肩甲骨が下がっている」
・「肩甲骨の内側が浮いている」
・「肩甲骨が前方に突出している」

これらの非対称なアライメントは、肩甲骨の役割を変化させ、パフォーマンスの低下や肩の異常を引き起こす一因となります。

肩甲骨のアライメントと動きの修正は、臨床的にも大切なアプローチとなります。

まずは、肩甲骨のアライメント評価から確認していきます。

肩甲骨のアライメント評価


肩甲骨のアライメント評価は、後面から観察します。

・内側縁の浮き上がり
・肩峰の位置
・下角の位置

ポイントは、脊柱との位置関係を指標に左右差を比較するとわかりやすいです。

ただ、運動連鎖の視点で考えると、肩甲骨を局所的に評価するだけでは不十分です。

・胸椎の後弯の程度
・腰椎の前弯の程度
・脚長差
・股関節の回旋制限

これらの要因は、肩甲骨のアライメントに影響を与えます。

パフォーマンスの改善には、肩甲骨から離れた部位の影響も考慮し、アプローチを進めることがポイントです。

次に、肩甲骨の運動方向を確認していきます。

肩甲骨の運動方向①


基本的な肩甲骨の運動方向になります。

・外旋−内旋
・前傾−後傾
・上方回旋−下方回旋

肩甲骨の動きは、腕の動きにあわせて3次元的に動いていることがほとんどかと思います。

例えば、腕を伸ばすときに「後傾しながら上方回旋する」というような感じです。

「肩に痛みがある」

このようなときは、一つ一つの運動方向の可動性・安定性を丁寧に確認していくことで痛みの原因を推論する手がかりとなります。

肩甲骨の運動方向②


こちらも基本的な肩甲骨の運動方向になります。

上方(挙上)−下方(下制)
内側(内転)−外側(外転)

先程同様に、一つ一つの運動方向の可動性・安定性を丁寧に確認していきましょう。

動きに制限や抵抗感がある場合、関連する筋群の過活動や短縮を見つけるとアプローチの手がかりとなります。

【肩甲骨】リトラクション・プロトラクション・シュラッグ


臨床的によく聞く運動パターン3つです。

・リトラクション
・プロトラクション
・シュラッグ

これらを構成する運動の組み合わせを覚えておくと良いかと思います。

臨床場面で、麻痺側肩甲骨のプロトラクションに制限があり、円滑に(非麻痺側へ)寝返ることが難しい方を経験します。

ただ、プロトラクションと言っても、各運動には個人差があるのが実際です。

「内旋は動くけど、外側に動かない」など。

やはり、一つ一つの運動方向の可動性・安定性を丁寧に確認することが大切と考えます。

【肩甲骨】小胸筋と上腕二頭筋短頭の柔軟性

肩甲骨の非対称性があるときは、動きに影響する筋群の評価が大切です。

腕を伸ばしたとき、肩甲骨の上方回旋に制限があるときは、

・小胸筋
・上腕二頭筋 短頭

これらの柔軟性はポイントになることが多いです。

まとめ

本日は、【肩甲骨の非対称性】アライメント評価と運動方向、というテーマで書きました。

肩甲骨の効率的な動きの獲得はセラピーにおいても大切なポイントです。

個々のケースで肩甲骨の動きの特徴を捉え、アプローチへつなげていけると良いかと思います。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

References

1.W Benjamin Kibler et al.Scapular dyskinesis and its relation to shoulder injury.Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons.2012

 

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