【立位バランス】麻痺手と姿勢制御を考える

手からの感覚情報は、姿勢の安定性を感知するセンサーです。

【麻痺手の運動能力】
・「自分では動かせない」
・「少し動かせるけど日常生活では使えない」
・「使えるけどぎこちない」

麻痺手の運動能力は、さまざまかと思います。

姿勢の安定のためには、症状の程度に関わらず麻痺手へのアプローチは重要と言えます。

はじめに、バランス戦略について確認していきます。

3つのバランス戦略

立位バランスは、姿勢の揺れを評価することがポイントになります。

効率的なバランス戦略は、足関節の逆振り子のような動きで,小さな揺れでバランスを維持します。(左図)

これは、動きに伴う姿勢の不安定さを補う予測的な姿勢調整の働きによって、安定性を維持しています。

一方、片麻痺者のバランス戦略は、姿勢の揺れは大きく、柔軟性・安定性は低い傾向であることを経験します。(中図)

効率的なバランス戦略のためには、姿勢の安定に貢献する手の役割を理解することが大切です。

皮膚受容器と運動制御

手の感覚に関与する皮膚受容器(特に触覚や圧覚)は、運動をコントロールする上で重要とされています。

・「触れている感覚が鈍い」
・「押される感じはわかる」
・「細かな位置はわからない」

麻痺手の感覚に関する表出はさまざまです。

姿勢の安定に貢献できる手の感覚情報は、アプローチを進める上で非常に重要です。

・手の置き方でバランスの安定性が変化する
・手の位置によって姿勢の揺れが異なる
・手を伸ばすと体幹が伸びやすくなる

ポジティブな反応が得られたら、日常生活での麻痺手の管理を提案することができます。

動かない麻痺手においても、姿勢の安定と手の感覚に関する評価は大切と考えます。

皮膚の感覚受容器

バランス制御に貢献する手の感覚情報は、受容器の刺激が大切になります。

・メルケル盤
・マイスナー小体
・パチニ小体
・ルフィニ終末

各受容器の大きさ・分布・深度はポイントです。

・皮膚の硬さ
・むくみ
・拘縮

これらの手は「感覚のわかりにくさ」につながる可能性が考えられます。

次に、各受容器がどのような感覚情報を伝えているかを確認します。

機械受容器の役割

機械受容器の役割が示されています。

ヒトの手は、高感度センサーを備えた精密機器のようです。

手の位置や構えの変化に応じて、刺激される機械受容器にも変化が生じていることが考えられます。

手に関する感覚・知覚の様々な表現から、入力される感覚情報を推論することが大切と考えます。

ライトタッチと予測的姿勢調整

ライトタッチ(指先の軽い接触)は、予測的な姿勢調整に貢献することが示されています。

非麻痺側の手についても考えることができます。

・ベッド柵や手すりの把持
・杖の使い方、握り方
・手の置く位置

小さな姿勢の揺れで柔軟性のあるバランス戦略に貢献できる手は重要です。

非麻痺側のライトタッチは、ポイントと考えます。

まとめ

本日は、【立位バランス】麻痺手と姿勢制御を考えるというテーマで書きました。

バランス障害を持つ患者の姿勢の安定性を高めるために、手の感覚は重要と考えます。

小さな姿勢の揺れで柔軟性のあるバランス戦略に貢献できる手は大切です。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

References

1.Anne Shumway-Cook,Marjorie H.Woollacott, Motor Control: Translating Research Into Clinical Practice.Lippincott Williams & Wilkins, 2007.p166

2.Schmidt, Richard A et al. .Motor Control and Learning, 6E. Human Kinetics,2019. pp147-150

3.Laurie Lundy-Ekman.Neuroscience-E-Book: Fundamentals for Rehabilitation.Elsevier Health Sciences, 2017.pp185-187

4.Paul A. Young, Paul Henry Young, Daniel Lee Tolbert.Basic Clinical Neuroscience. Lippincott Williams & Wilkins, 2008.pp131-133

5.J R Lackner et al.Precision contact of the fingertip reduces postural sway of individuals with bilateral vestibular loss. Experimental Brain Research.1999

 

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