小脳と運動学習

小脳の運動学習は、トライ&エラーによる適応が大切とされています。

この適応については、と運動感覚の予測と結果のずれを理解することが必要です。

どういうことでしょうか?

健常者で考えてみます。

僕らは自分の体を自由に動かすことができます(動かせているという感覚)。

これは運動感覚の予測と結果にずれがない状況です。

この場合、運動や感覚にずれがあれば、すぐにエラー修正ができて適応できますよね。

では、小脳疾患のケースを思い浮かべてみましょう。

リーチ動作のとき

・リーチ軌跡が最短でない
・リーチ中の動揺
・立位はワイドベース&固定的な上肢

などの臨床像は一度は経験があるかと思います。

 

運動学習を効率的・効果的に進めていくためには、運動中のエラーの大きさにポイントがあります。

小さなエラー学習に貢献する小脳

小さなエラーの運動学習には、小脳の貢献が影響を与えるとされています。

このことから、

①小さなエラーからはじめる
②段階的に上げていく

これがポイントと言えます。

経験的ですが、①は患者さんが怖さを感じないくらいからはじめるといいかと思います。

大きすぎるエラーは、トライしたものの恐怖心が先行してしまいエラー修正にチャレンジできない、というようなことが多々あります。

 

セラピーの組み立ては小さなエラーの積み上げをポイントとしておさえておきましょう。

大脳皮質の病変においては?

一方、皮質病変の患者さんはどうでしょうか

小脳損傷のない皮質病変の症例においても、

小さなエラーの積み上げは大切ですね。

なぜなら、運動学習には小脳の関与を考えねばなりませんし、小脳が小さなエラーからの学習に影響をあまり受けないのであれば、利用しない理由はありません。

まとめ

本日は、小脳の運動学習は小さなエラーの積み上げが大切、というお話でした。

効果的・効率的に運動学習を進めていくために、個々の患者さんにあわせたエラーの大小を検討していくことが重要と考えます。

 

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Sarah E. Criscimagna-Hemminger,et al.Size of Error Affects Cerebellar Contributions to Motor Learning.J Neurophysiol,2010

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