【運動学習】明示的学習と暗黙的学習

運動スキルは、感覚運動経験を通して学習します。

これらは経験・記憶に基づくことから、個別性の評価が大切と考えます。

例えば、座位姿勢に傾きがある片麻痺患者さんへの声掛けを考えてみます。

・「身体を伸ばしてください」(フィードバック)

・垂直に体幹伸展が可能な方(反応A)
・反り返るように体幹伸展してしまう方(反応B)

同じ口頭指示によるフィードバックでも反応が異なることは経験します。

セラピーにおいて、効果的な運動学習を促通することが大切です。

はじめに、明示的学習と暗黙的学習を確認します。

運動学習:明示的学習と暗黙的学習

運動学習における、明示的学習と暗黙的学習について[1]示されています。

・明示的学習:意識
・暗黙的学習:無意識

2つの学習形態を理解することが大切と言えます。

脳卒中後患者さんを考えます。

認知症があれば、昨日のリハビリ内容を思い出せないことがあるかもしれません。

失語症があれば、口頭指示での動作修正は工夫が必要になります。

リハビリプログラムにおいて、各学習の潜在性を評価しながらアプローチすることが大切と言えます。

学習と記憶:明示的記憶と暗黙的記憶

明示的記憶と暗黙的記憶について[2]示されています。

「できると思って動いたら転んでしまった」

このような声を聞いたことがあります。

患者さんは、発症前の感覚運動の記憶を頼りに、動きを予測することが多いです。

予測にエラーが大きければ、転倒に至るケースがあります。

無意識に学習している身体の動き、現状の身体状況、転倒の可能性を明示的に示してあげることは大切と言えます。

また、感覚運動をガイドしながら明示的と暗黙的記憶をつなぎ合わせていくことがポイントです。

明示的知識と暗黙的学習の関係

明示的知識の重要性が示されています。

つまり、事前フィードバックが大切であると言えます。

例えば、片麻痺患者の上肢課題を考えます。

麻痺側で行う前に、非麻痺側で行い感覚運動のポイントを説明すると良いかもしれません。

・運動課題
・学習過程
・フィードバックとフィードフォワード(量・質・タイミング)

効果的に運動学習をすすめるためには、この3つを考えておくことがポイントです。

運動学習:3つのステージ

新しい運動課題の学習は「拙劣・遅い・不安定」となりやすいです。

学習のステージから考えても、はじめは上手にできなくて当然なのです。

うまくできない→次の課題を繰り返していると、いつまでも初期段階をたどることが考えられます。

運動パフォーマンスの変化から、「今どのステージか?」と観察分析することが重要と言えます。

動作におけるフィードフォワードとフィードバックの相互作用

学習初期は、フィードバックによる制御を多く必要とします。

学習過程とともに、運動スキルを獲得し、フィードバックへの依存度は軽減していきます。

運動スキルの学習過程で、動作分析のポイントをおさえる必要があります。

【フィードバックとフィードフォワードの相互作用[3]
・戦略の選択
・トリガー応答
・時間的パターン形成
・振幅の大きさ

 

各運動課題において、上記4点の変化に着目し分析できると良いかと思います。

まとめ

本日は運動学習:明示的学習と暗黙的学習について書きました。

運動学習過程を理解し、動作分析のポイントをおさえ、学習を促通するための関わりが大切と考えます。

一人ひとりの経験・記憶を推論しながら、プランを組み立ていけると良いかと思います。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Ulrike Halsband et al.Motor learning in man: a review of functional and clinical studies.J Physiol Paris.2006

2.L A Boyd et al.Implicit motor-sequence learning in humans following unilateral stroke: the impact of practice and explicit knowledge.Neurosci Lett.2001

3.Laurie Lundy-Ekman,Neuroscience – E-Book: Fundamentals for Rehabilitation,Elsevier Health Sciences, 2013-p259