脳卒中後の筋力低下を考える
脳卒中による中枢性運動障害の直後は麻痺を生じることが多いです。
麻痺による筋肉の弱化・過活動は、抗重力伸展活動の制限の一因となります。
自ずと活動量は減少することから、筋力低下の可能性を念頭にセラピーを進めていく大切と考えます。
はじめに、中枢性運動障害について確認していきます。
中枢性運動障害
中枢神経障害による筋力低下なのであれば、神経システムの理解は必要です。
基本的ですがここは大切です。
「活動量を増しましょう」「がんばって運動しましょう」と言っても解決できないことは、日々の臨床で痛感します。
セラピーでは、患者一人ではできない感覚運動経験を提供することもポイントと考えます。
痙縮による運動障害のメカニズム
痙縮による運動障害のメカニズム[1]が示されています。
臨床において、痙縮性運動障害(図の一番下)を現象として観察します。
弱化や過活動(図のピンク枠)等、どのように影響しているか分析するプロセスが臨床推論です。
つまり、現象の背景を考えることが大切と言えます。
時間経過によって、筋肉に短縮、皮膚の可動性低下など非神経性要因の可能性も加わります。
最適な筋肉の長さが保たれなければ、発揮される力も低下してしまいます。
筋肉の萎縮 筋線維タイプの変化
筋線維タイプの変化[2]について示されています。
抗重力活動の制限により、筋線維タイプの変化が生じることを知っておく必要があります。
とはいえ、観察から筋線維タイプを明確に知ることは難しいかと思います。
臨床的には「疲労」に着目することは一つポイントかと思います。
加齢の影響 筋線維タイプの変化
脳卒中後リハビリは、高齢者を対象とすることも増えています。
つまり、加齢の影響を考慮した分析が求められます。
筋肉の働きの弱さに加え、収縮の遅れについて知っておくことが大切です。
筋肉の触診から働きを評価する上で重要なポイントです。
非麻痺側の筋力低下
片麻痺者の活動において、非麻痺側の機能が十分に保たれていることは重要です。
麻痺側のみならず、非麻痺側の機能を定期的に評価することが大切です。
「良い方の腕が疲れる」
経過の中で、非麻痺側の疲労を訴えを聞くことがあります。
早期から、非麻痺側の機能を維持することは大切なポイントと考えます。
まとめ
本日は、脳卒中後の筋力低下を考えるというテーマで書きました。
中枢神経障害による筋力低下なのであれば、神経システムの理解は大切です。
早期から筋力低下を分析し、姿勢運動とのつながりを考えていけると良いかと思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
2.Wayne Scott et al.Human Skeletal Muscle Fiber Type Classifications.Phys Ther.2001
3.A W Andrews et al.Distribution of muscle strength impairments following stroke.Clin Rehabil.2000