【立脚後期の筋活動】 腓腹筋とヒラメ筋

片麻痺患者の歩行において、立脚後期に問題を呈する症例を経験します。

立脚後期という複雑なタスクの達成には、足関節底屈筋である腓腹筋とヒラメ筋の理解が不可欠です。

・腓腹筋とヒラメ筋の筋活動にアンバランス
・下腿は外旋しており、母趾側で踏み込めない
・底屈内反を呈し、筋肉の長さが不十分

出力される筋活動が強すぎても、弱すぎても動作の制限となります。

最適な立脚後期のためには、各筋肉が生み出すエネルギーの貢献、神経筋制御の視点が大切と考えます。

はじめに、基本的ですが歩行周期から確認していきます。

【歩行周期】立脚期の割合

立脚期の割合について[1]示されています。

 

【Stance phase(60%)】
Beginning Stance:0-20%
Mid Stance:20-40%
Late Stance:40-60%

片麻痺患歩行の全体像から、各phaseのつながりを捉え、アライメントを観察します。

例えば、「立脚後期に小趾側優位の荷重であり、側方へのswayが強く、麻痺側後方へ転倒の危険性がある」というような現象が観察されたとします。

次に、なぜそのようになっているのか?と仮説をあげますよね。

この仮説に筋活動は不可欠であり、正常要素の理解が役立ちます。

【立脚期の筋活動】腓腹筋とヒラメ筋の貢献

立脚後期における腓腹筋とヒラメ筋の貢献[1]について示されています。

腓腹筋とヒラメ筋から生み出されるエネルギーの役割に違いがあることがポイントです。

 

【前方への推進の制限】
下肢の問題→腓腹筋チェック
体幹の問題→ヒラメ筋チェック

 

臨床経験では、膝関節を常に屈曲して歩いている場合、腓腹筋の長さや粘弾性、内外側頭のトーンやアライメントなどを確認していきます。

 

他に、腓腹筋の粘弾性は低い場合、深層のヒラメ筋に過活動・短縮やアンバランスがないかを確認します。

 

これらの座位・立位・歩行のタスクによる変化も大切と考えます。

 

立脚後期に関連する筋群を確認していきます。

【足関節背屈の制限】3つの筋群をチェック

3つの筋群をしまします。

【足趾伸展の制限】2つの筋群をチェック

2つの筋群を示します。

 

ここまでは、「筋肉」についての話でした。

 

次に「腱」についてです。

歩行におけるゴルジ腱器官の役割

歩行におけるゴルジ腱器官の役割[2]について示されています。

 

【GTOの役割の違い】
立脚期:下肢伸筋の促通
遊脚期:下肢伸筋の抑制

 

立脚後期において、アキレス腱のエネルギーの蓄積/放出が重要です。

 

片麻痺患者の腓腹筋の抗重力活動が乏しく、筋肉は下方に下がってしまい、アキレス腱への張力を生み出しにくいことも経験します。

 

これら求心性の感覚情報は、リズミカルな歩行を生み出すためにも重要です。

 

背景となる神経制御の理解を深め、観察分析できると良いかと思います。

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まとめ

本日は、【立脚後期の筋活動】 腓腹筋とヒラメ筋について書きました。

臨床的に、立脚後期は課題となることが多いかと思います。

背景にある筋活動、神経制御の理解を深めセラピーを進めていきましょう。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Felix E Zajac et al.Biomechanics and muscle coordination of human walking: part II: lessons from dynamical simulations and clinical implications.Gait Posture. 2003 

2.Laurie Lundy-Ekman.Neuroscience – E-Book: Fundamentals for Rehabilitation. Elsevier Health Sciences, 2017.pp250