【片麻痺】 肩甲骨の安定性に関係する筋肉
肩甲骨の安定性は、移動や上肢機能の回復のために重要です。
・「肩が痛い」
・「肩が重くて歩きにくい」
肩甲骨の不安定性がみられる片麻痺患者さんは、さまざまな臨床像を呈します。
・前鋸筋や僧帽筋下部の短縮
・上肢屈筋の過活動
個々のケースに生じているアライメントや動きの問題解決のためにも、肩甲骨の安定性に関係する筋肉の理解は大切です。
【肩甲骨】安定化と回転に関係する筋群
安定化と回転に関係する主な筋肉は4つです。
後面からの肩甲骨のアライメント評価から、翼状肩甲がみられる患者さんは、前鋸筋に短縮・弱化を呈していることが多いです。
また、リーチ動作に肩甲骨挙上の代償動作がみられる患者さんは、肩甲挙筋・僧帽筋上部に短縮・過活動となっていることも多く経験します。
アライメントと動きの関連性を捉えつつ、筋肉の不均衡や不活性を探していけると良いかと思います。
【肩甲骨】肩関節の外在筋
肩関節の外在筋は3つです。
臨床経験では、肩甲骨上方回旋の制限により、リーチ動作時に上腕二頭筋の長頭部にインピンジメントを生じるケースもいました。
この場合、「安定化と回転に関係する筋群」の不活性が、肩関節の外在筋の痛みにつながっていたと考えられます。
この場合、セラピーは安定化と回転に関係する筋群の活性化から、リーチ動作の上方回旋の動きの制御を高めることが大切でした。
【肩甲骨】ローテーターカフ・肩甲骨の内在筋
肩甲骨の内在筋であるローテーターカフは4つです。
内在筋としての肩甲骨の安定に貢献します。
これら筋群に弱化・低緊張がみられると、関節窩と骨頭の動きの制御が不十分となり、外在筋の代償活動につながることが考えられます。
細かな筋肉で触診が難しいかもしれませんが、丁寧に確認していきましょう。
上方・下方回旋の運動パターン
肩甲骨の上下方回旋パターン[2]が示されています。
リーチの肩関節角度に応じて、回旋パターンに変化がみられることは臨床的に重要です。
片麻痺患者さんは、リーチにあわせた肩甲骨の上方回旋が不十分であることを経験します。
安定性に関係する筋肉の活性化を図り、動きの制御につなげていくことが大切です。
【片麻痺】リーチ動作の特徴
片麻痺者のリーチ動作動作の特徴[3]が示されています。
肩甲骨の安定性に関係する筋肉を理解し、パフォーマンスにつなげていくことが最重要です。
肩甲骨を運動連鎖の視点で捉えると、下肢や体幹からのエネルギーが上肢・手指の操作性にまで伝わることを目指します。
個々の片麻痺患者さんの特徴を捉え、関連する筋群のセラピーをすすめていけると良いかと思います。
まとめ
本日は、【片麻痺】 肩甲骨の安定性に関係する筋肉というテーマで書きました。
肩甲骨の安定性は、移動や上肢機能の回復のために重要です。
筋群の構成要素を理解し、動作との関連性を分析しつつセラピーを進めていきましょう。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.W B Kibler.The Role of the Scapula in Athletic Shoulder Function.Am J Sports Med. Mar-Apr 1998