歩行から走行の移行速度を決める足関節底屈筋
ヒトの移動は、非常に遅い速度から、早足、走行まで幅広い速度で運動することができます。
足関節の底屈筋は、推進力を生み出す役割を担っており、歩行速度のバリエーションにおいても重要と言えます。
片麻痺患者さんにおいて「走行」は高い機能レベルかもしれません。
「走行」の潜在性を安全に評価するとき、例えば免荷式のトレッドミルを用いることがあるかもしれません。
臨床上、歩行から走行に移行する速度はひとそれぞれで画一的な速度とはならないことを経験します。
はじめに、歩行から走行の移行速度に重要な要因について確認していきます。
歩行から走行の移行速度に重要な要因
歩行から走行に移行するとき、運動パターンはどうでしょうか。
歩行速度を徐々に速めていくと、股関節の伸展が増大し、歩幅が拡大していきます。さらに速度を速めると、歩行パターンでは、下肢の運動サイクルが間に合わなくなり、自然と走行パターンに切り替わるような動きが観察されます。
走行への移行速度で、足関節底屈筋力が大幅に低下した[1]
との報告があります。
歩行観察する上で、立脚後期の蹴り出しのフェーズで足部・足関節の働きは重要なポイントと言えます。
筋活動のタイミングや強さ、「弱さはないか」、「遅れはないか」、「ズレはないか」、これらは走行へのモード変更の指標になりそうです。
足関節の底屈・足趾伸展【筋肉】
蹴り出しのフェーズでは、足関節は背屈・足趾は伸展し、底屈筋が働くことが大切です。
基本的ですが、下腿筋3つを確認します。
これら筋群に硬さがあると、蹴り出しのフェーズのアライメントを作ることができません。
筋力を発揮するためには長さが保たれていることが大切です。
足趾屈筋2つも確認します。
足趾は裸足でも観察してみましょう。
靴を履いていたときにはわからない足趾の屈曲に気づくことがあります。
歩行と体性感覚フィードバック
歩行パターンの変化に、脊髄と体性感覚フィードバックの結合が重要であります。
以前書いた記事になります。
足底感覚にメカノレセプターについて理解しておくことも大切です。
歩行走行と感覚についての参考までにのせておきます。
歩行速度が遅いケースは?
歩行速度が遅いケースも臨床上多いですよね。
速くしたくても難しいことが現実かと思います。
このようなケースも、足関節底屈筋の力は十分に発揮できていないですよね。
足関節底屈筋が走行への切り替えに重要な要因であることから、歩行速度の遅いケースにおいても臨床上の分析ポイントになるのではないでしょうか。
走行まではいかずとも、自然な歩行速度を目指して、足関節底屈筋のコンディショニングは大切になるのではないでしょうか。
まとめ
本日は、歩行から走行の移行速度を決める足関節底屈筋について書きました。
臨床場面でも、歩行速度は計測する機会も多く大切な評価指標です。
速度と足関節底屈筋の関連性について深堀りできればセラピーのヒントになると考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。