【片麻痺歩行の特徴】 全体像から立脚期と遊脚期
片麻痺歩行の特徴は、個々のケースにおける正常運動からの逸脱を見つけることがポイントになります。
まずは歩行の全体像から捉えていきましょう。
歩行の全体像を捉えよう
まずは、簡単にでもいいので歩行の全体像を捉えることからはじめましょう。
具体例を挙げます。
・速い ↔ 遅い
・安定 ↔ 不安定
・対称 ↔ 非対称
・力強い ↔ 弱々しい
・意識 ↔ 無意識
歩行を観察したときに感じた印象に近いかもしれません。
また、患者さんの感じていることを聴取することも大切です。
・「足が重たくて大変」
・「支えが頼りなくて怖い」
訴えから感覚・知覚・認知の機能を推察しましょう。
感覚や情動・心理面もパフォーマンスに理解する上で非常に重要です。
このように全体像や患者さんの感じていることを繋ぎ合わせ「なぜ?」と深堀りしていくのが次のステップです。
歩行周期
歩行をバイオメカニクスの観点で捉えるには、歩行周期の理解が大切です。
②足部が引っかかる
③非麻痺側の立脚時間が長い
①③は立脚期、②は遊脚期の課題になります。
・Stance phase:60%
・Swing phase:40%
観察される問題となる現象が、立脚期と遊脚期どちらの逸脱かを捉えましょう。
ただし、はじめに挙げたように逸脱ポイントは1つとは限らないのがほとんどです。
また、全歩行周期をリアルタイムで捉えることは容易ではないのが現実です。
ここでは、転倒の危険性あるフェーズを絞り込むことが大切と考えます。
「いつ」「どこで」、「どのように」の視点で現象を捉えると、優先されるセラピーターゲットが見えてきます。
立脚期の特徴【片麻痺歩行】
片麻痺歩行における立脚期の特徴が示されています。
特に立脚後期の蹴り出しのフェーズは課題となることが多いですよね。
蹴り出しのフェーズの構成要素を考えてみましょう。
・足部の荷重応答からリリースできる膝関節
・股関節の伸展と体幹の垂直性
アライメント・筋活動(タイミング・強さ)が運動連鎖として働くことが重要です。
遊脚期の特徴【片麻痺歩行】
片麻痺歩行における遊脚期の特徴が示されています。
足部の引っかかりかりを防ぐため、骨盤を引き上げる、股関節をぶん回すなどの代償活動が観察されることも多いです。
足部が引っかかりも、足関節背屈の弱さ、足関節底屈が強すぎる、など理由が違ったりします。
代償動作の背景となる理由を仮説検証していくことが大切です。
正常運動には幅があることを理解する
正常運動には幅があることも理解しましょう。
例えば、円背姿勢の方がいます。
歩行では常に股関節屈曲位です。
教科書的な正常から逸脱していますが、日常生活で何も不自由なく暮らせています。
正常からの逸脱=異常ではありません。
正常運動には個別性と幅があることを理解して特徴を捉えましょう。
まとめ
本日は、【片麻痺歩行の特徴】 全体像から立脚期と遊脚期というテーマでまとめました。
片麻痺の歩行練習を進める上で、闇雲に頑張ることは労力が大きく負担になります。
歩行機能を効率的・効果的に改善するために、一人ひとりの問題となる現象を捉えることが大切と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.Joel A. DeLisa,Gait Analysis in the Science of Rehabilitation.DIANE Publishing,1998
2.A Moseley et al. Observation and analysis of hemiplegic gait: stance phase.Aust J Physiother.1993
3.S Moore et al.Observation and analysis of hemiplegic gait: swing phase.Aust J Physiother.1993