動作分析の苦手意識をなくそう

セラピストにとって、動作分析は必須のスキルであることは言うまでもありません。

しかしながら、「動作分析が苦手」という人は多いかと思います。

動作分析が苦手な人は、

・専門書籍を読む
・セミナーに参加する
・三次元動作解析を勉強する

このように努力してみたけど、挫折してしまうことが多いのではないでしょうか。

もちろん、勉強することは素晴らしいことで否定はしません。

ただ、初学者はもっと簡単に勉強できたら良いかと思います。

「患者さんの動きを理解する」ということが目的であるならば、お金・時間・労力は最小限に、効果を実感しながらスキルアップできたほうが継続できます。

今回は、動作分析が苦手意識をなくすために今すぐできるトレーニングを提案します。

動作分析は真似できたらOK

結論からお伝えすると、

動作分析は真似できたらOK

難しいテクニックは一切必要ありません。

まずは、とにかく真似してみましょう。

真似する時の手順は、

・姿勢を真似る
・次に運動を真似る

この順番です。

そして、全身を真似しましょう。

下肢だけ、上肢だけ、でなく全身です。

試しに真似してみましょう。

すぐに真似できないところがあれば、「観察しきれていないところだな」と考えます。

観察が不十分なところがわかれば、「次はしっかり評価しよう」と課題が明確になります。

これなら今すぐに、どこでも、誰でもできますよね。

全身を真似することが大切な理由①

片麻痺患者さんで、足部の底屈内反を呈するケースで考えます。

右片麻痺と想定します。

右足部の底屈内反しているとき、骨盤は右回旋していないでしょうか。

この場合、考えられることは、

右足部が底屈内反しているため、骨盤が右回旋している

骨盤が右回旋しているため、右足部が底屈内反している

少なくとも2つの可能性が考えられれます。

むずかしく考えず、立ってみて骨盤を右回旋してみましょう。

右足部は内反しませんか?

これが理解できると、セラピーの優先順位をつけるときに役立ちます。

全身を真似することが大切な理由②

一人ひとり姿勢・運動には個別性があり、百人百様です。

正常運動にも幅があることを理解し、「こんな感覚で動いているのか」と体感しながら掘り下げることが、動きの理解につながります。

頭頸部−体幹−四肢の相互作用を考えていきましょう。

Function is most often produced by the kinetic chain, the coordinated, sequenced activation of body segments that places the distal segment in the optimum position at the optimum velocity with the optimum timing to produce the desired athletic task.
運動機能は、運動連鎖によって生み出されます。運動連鎖とは、身体の各部位が協調して連続的に活動することであり、目的の運動課題を達成するために、遠位の部位を最適な位置・速度・タイミングで配置することである。
[1]W Ben Kibler,et al.The role of core stability in athletic function,Sports Med.2006

Kiblerらが提唱しているように、全身のつながり、相互作用を理解していくことが大切と言えます。

気持ちも理解して真似する

不安な表情を浮かべ下を向いている人に、ハッピーは人は少ないと思います。

その反対もしかりです。

転倒への恐怖心が強い方は、体をかがめて、あまり動かないようにしているかもしれません。

患者さんの動きを理解する上で、情動面・精神面の理解は見落としてはいけません。

動きを真似しつつ、「どのような気持ちなんだろう?」と共感しましょう。

思いがけない姿勢運動との関連性に気づかされます。

真似して動作分析できたら言語化

「動作分析の結果を言語化できない」このような話を聞いたりします。

「ここがの動きがこうなってて、あーなってて」みたいにうまく説明できない…。

親しい間柄であれば、問題ないかと思いますが、そうでない場合は困りますよね。

動作の真似ができれば、あとは運動学的な用語に変換するだけです。

ここはある程度の場数は必要ですが、必ずできるようになります。

間違えないほうがよいのは、

・真似ができない
・言語化ができない

この2つを混同しないことです。

言語化ができないのではなく、真似ができていないケースも意外に多いのではないでしょうか。

真似ができていれば、言語化のトレーニングはいつでもできますよね。

まとめ

本日は、動作分析に苦手意識をなくすために今すぐできることを提案しました。

まずは簡単に、いつでも、どこでもできる方法なので、気になった方は試してみてください。

 

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.W Ben Kibler,et al.The role of core stability in athletic function,Sports Med.2006