姿勢の安定と手の器用さの関係
器用に手を動かすためには、安定した姿勢であることが大切な条件です。
脳卒中後の手指操作を考えると、
・視覚依存の増強
・頚部や体幹の代償
このような現象はしばしば観察されます。
臨床経験から、手指の操作性を改善するために、姿勢の安定性が求められたり、視覚への配慮をしながら進めなければならないことがあります。
今回は、姿勢の安定と手の器用さについてポイントをおさえて考えます。
手の操作性と姿勢コントロール
手指操作の難易度によって、求められる姿勢コントロールは変化します。
正常運動では
・つまむ
・はなす
これら手指を操作しているとき、頚部や体幹は安定して定位できています。
操作物の形状、重さ、素材に合わせた運動(感覚)の予測に応じて、姿勢コントロールは変化していると言えます。
例えば、置いてあるペットボトルを持ってみます。未開封だと思ったら空っぽだった場合、ボトルを持った瞬間「ひょいっ」と腕があがってしまいますよね。
つまり予測した重さが、運動(感覚)と不一致であったためです。
中枢神経は運動(感覚)の予測しているのだと考えることができます。
姿勢の安定と手の器用さ、発達の観点
では、子どもの手の器用さを考えてみます。
子どもは、月齢にあわせてさまざまな手の動きができるようになり、姿勢は安定していきます。
ここから脳卒中ケースを分析していくヒントがあると考えます。
もちろん、成人と子どもでは「経験」の差があるため、蓄積されている「学習」や「記憶」の背景も異なります。
それらを考慮しながら、脳卒中後の手の操作を考えると、
・視覚
・APAs
・機能的リーチ
これらキーワードは、相互作用として考えるべき大切なポイントと言えます。
脳卒中後の手 課題選択の難しさ
脳卒中後のケースは、認知症を合併や、注意・集中の持続が乏しいなど、課題選択の難しさを感じます。
発達の観点で考えると、子どもは楽しいこと、達成感を得られるようなおもちゃに興味を持ちますね。
それは、色合いだったり、音だったり、触り心地だったり、つまり五感で楽しめるものだったりします。
どのような課題選択がベストか、断言はできませんが、馴染みのある課題から探してみると良いかもしれません。
例えば、職歴から使うことが多かった物品を使用してみる、主婦であれば家事動作から考えてみるなど。
そう考えると、経過、生活歴、趣味嗜好なども大切な手がかりになりそうです。
まとめ
本日は、姿勢の安定と手の器用さの関係について考えました。
発達の観点・神経システムの背景を考えつつ分析を進めていけると良いかと思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。