姿勢オリエンテーションの手がかりとなるライトタッチ

Light touch(ライトタッチ)、軽く接触しておける手の機能は、姿勢制御において大切です。

どのような影響があるか。

自分の身体で、体感してみましょう。

①片足立ちをします
②指先を軽く触れます
③姿勢の安定感を確かめましょう

「指先を軽く触れる」感覚が、片足立ちの安定にどのように影響しましたか。

姿勢制御における、感覚の影響の理解は脳卒中患者さんのセラピーに重要です。

・開きにくい麻痺手
・置いておくことが難しい麻痺手
・いつも力が抜けない非麻痺手

これら片麻痺者から観察される手を解釈し、最適な姿勢制御へつなげましょう。

ライトタッチの姿勢制御への貢献について確認します。

ライトタッチは姿勢オリエンテーションの手がかり

オリエンテーションとは、方向あるいは向きという意味合いです。

脳卒中後の立位姿勢において、垂直性や正中性を保ちながら抗重力伸展活動を維持することの難しさを抱える方は多いです。

ライトタッチによる手・手指の感覚は、体幹あるいは下肢の活性化を高める上で重要と言えます。

姿勢制御システムの構成要素

姿勢制御システムの構成要素[2]について示されています。

姿勢制御は、オリエンテーションと安定性を両輪とし多重感覚入力のフィードバックが重要であることがわかります。

中枢神経障害による多くの筋群の麻痺は、体性感覚入力の伝わりにくさを招きます。

体幹あるいは下肢の弱さは、姿勢保持の難しさにつながり、上肢の努力性、視覚依存のバランス戦略につながることも多いです。

最適な四肢の運動制御を引き出すために、姿勢制御への感覚の貢献を分析することが大切です。

感覚入力と運動出力の相互作用を解釈しながら、課題解決できると良いと思います。

麻痺側の手

麻痺手に過活動がみられる場合、ライトタッチが難しくなることは少なくありません。

あるいは、粘弾性の低下、短縮している手も同様です。

関連する筋群の長さ、粘弾性を確認し、機能制限を引き起こさないよう管理することが大切です。

非麻痺側の手

非麻痺手は、姿勢制御を捉える上で多くのサインを与えてくれます。

手すりや杖・ベッド柵などを把持することは多いと思います。

どれくらいの力でどのように把持しているかを観察分析することは、セラピーの効果判定にもなります。

強く把持した手は、過剰な安定性を高め、姿勢オリエンテーションを制限している可能性があります。

とはいえ、代償動作は悪ではありません。

大切なのは、強く把持しなければならない理由を探りアプローチを通して、姿勢制御に貢献できる非麻痺手の機能を引き出すことと考えます。

まとめ

本日は、ライトタッチの姿勢オリエンテーションへの影響について書きました。

中枢神経障害のセラピーを展開する上で、個々で生じる姿勢の安定性・オリエンテーションの問題解決に試行錯誤することが多いです。

感覚の理解は難しさもありますが、個々の潜在性を引き出しながら、貢献度の整合性を理解していけるとよいかと思います。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.J J Jeka.Light Touch Contact as a Balance Aid.Phys Ther.1997

2.Jean Massion.Postural control system.Current Opinion in Neurobiology.1994

3.Nathaniel H. Mayer,et al.Muscle overactivity and movement dysfunction in the upper motoneuron syndrome.Phys Med Rehabil Clin N Am.2003

あわせて読みたい