【転倒予防】COPD患者のバランス制御と感覚戦略

安定したバランス制御には、感覚戦略の理解が重要です。

柔軟性なバランス制御には、適切な感覚情報の分析、比較、選択する能力が求められます。

COPD患者さんを考えます。

・歩行に伴う息切れ
・努力的な呼吸に伴う身体の揺れ
・疲労による転倒の危険

呼吸のバランス戦略へ影響を分析する視点は、転倒予防に大切な視点です。

COPD患者さんの特徴を捉えましょう。

COPD患者のバランス制御・感覚戦略

姿勢の安定を維持するためにどのようなバランス戦略を使用しているか捉えることはアプローチを進める上で大切です。

吸気筋の弱化により、足関節戦略優位となる

COPD患者さんのバランス制御の特徴を捉える上でポイントになります。

運動負荷によって努力的な呼吸パターンとなるケースは、足部・足関節の働きを分析することが重要と考えます。

足関節戦略・股関節戦略・ステップ戦略

環境や課題に応じて調整される筋シナジーや戦略は、効率的な柔軟性のあるバランス制御を支えます。

COPD患者さんは足関節戦略優位と示されていました。

足関節戦略は,身体が足関節の逆振り子のように動きによって、立っているときに少量の揺れでバランスを維持するのに適しています。

転倒の危険があると、股関節戦略やステップ戦略の傾向が多くなります。

呼吸による大きな身体の揺れに、体幹近位部が貢献できない場合、視覚や前庭情報による代償戦略を強める可能性も考えられます。

大切なのは、感覚戦略を推論することがポイントです。

【立位バランス】外乱速度と筋活動

CoMを素早く動かさなければならないような姿勢の乱れは、より多くの筋活動が動員されます。

外乱速度が速い→上半身の筋活動の活性化

大きくバランスを崩すような場面では、呼吸補助筋群のバランス制御への貢献が求められます。

COPD患者さんのバランス制御を高めることは、呼吸への負荷を軽減することにもつながる可能性があります。

足部内在筋の構成

足部内在筋は主に11の筋群で構成されています。

立位のバランス制御において、足部内在筋の理解は大切です。

・筋肉の長さ
・粘弾性
・足部のアーチ

細かな動きの制御に貢献できるよう、足部の評価が大切と考えます。

裸足での観察分析ができれば、より多くの情報を得ることができます。

アライメントと動きの関連性を捉えつつ、筋肉の不均衡や不活性を探していけると良いかと思います。

まとめ

本日は、【転倒予防】COPD患者のバランス制御と感覚戦略というテーマで書きました。

リハビリ対象者の高齢化に伴い、重複障害を抱える患者さんを多く経験するようになりました。

疾患特性を理解し、包括的にアプローチを進めることが大切と考えます。

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Lotte Janssens et al.Proprioceptive changes impair balance control in individuals with chronic obstructive pulmonary disease.PLoS One.2013

2.Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott,  Motor Control: Translating Research Into Clinical Practice.Lippincott Williams & Wilkins, 2007-p166

3.CF Runge et al.Ankle and hip postural strategies defined by joint torques.Gait & posture, 1999

4.Patrick O McKeon et al.The foot core system: a new paradigm for understanding intrinsic foot muscle function.Br J Sports Med. 2015

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