【肘・前腕・手】筋肉のつっぱり「痙縮」
脳卒中後の片麻痺者は、姿勢保持や歩行、上肢機能にさまざまな制限が生じます。
麻痺による上肢筋群の過活動は、臨床場面でも観察されることが多いです。
・手が開かない・伸びない
・着替えが大変
肘・前腕・手の筋過活動では、リーチ&グラスプ、歩行、バランス、日常生活の場面で多くの制限となります。
はじめに、痙縮の定義から確認していきます。
痙縮の定義
「速度依存的」の観点は、非常に重要と言えます。
日常生活動作を考えてみます。
・更衣動作の袖通しに援助の必要がある。
・寝返り動作に上肢から援助することがある。
痙縮の視点で考えると、これらの動作に素早く伸ばすような援助は控えるべきと言えます。
また、筋過活動による短縮は、さらなる制限につながるため予防が必要です。
過活動の起こる可能性のある筋群の理解は、効果的なセラピーを展開するためには重要です。
【肘関節屈曲】過活動を示す可能性のある筋群
肘関節屈曲の過活動を示す3つの筋を確認します。
臨床的に、腕撓骨筋の過活動を呈している方は多いです。
腕撓骨筋は前腕-手関節を協調的に動かすために重要な筋肉ですので、粘弾性・長さ・アライメントの要素をしっかりと確認しておきましょう。
【前腕回内】過活動を示す可能性のある筋群
続いて、前腕部の筋肉を確認します。
回内位で動きが少なく、長く固定的になっている場合、短縮の影響も考えられます。
前腕部の動きに制限を受けると、箸・スプーン操作、書字など遠位部の操作性に制限を受けます。
テーブルに前腕を置き、手のひらを上に向けるようセルフマネージメントを提案します。
短縮を予防するためのケアは、可能な限り早期に提案できると良いと思います。
【手関節掌屈】過活動を示す可能性のある筋群
手関節の筋肉を確認します。
手指を強く握り込み、撓屈あるいは尺屈しているような場合、手指を開くと痛みを生じるケースも少なくありません。
指を開いて、テーブルに手のひらを接地できるようセルフマネージメントを提案します。
軽く接触しておける手は、姿勢保持やバランスにおいて大切な感覚の手がかりとなります。
また、指を開いて手洗うことは衛生的にも重要です。
短縮を予防するためのケアは、可能な限り早期に提案しましょう。
まとめ
本日は、【肘・前腕・手】筋肉のつっぱり「痙縮」についてまとめました。
前腕・手の筋群は、日常生活でセルフマネージメントできることも多いです。
痙縮の視点から、筋はゆっくりと伸長することが重要なポイントです。
筋肉を丁寧に分析し、できる限り生活の中に落とし込んだケアを早期に提案できることも大切な視点と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.Angshuman Mukherjee,et al.Spasticity Mechanisms – for the Clinician.frontiers in neurology.2010