グローバルマッスルとローカルマッスル
脊柱は構造的には不安定なため、筋肉による安定性が重要な役割を担います。
体幹の安定性を向上させるための運動プログラムは、筋の活性化、神経筋制御、静的安定化、動的安定化に焦点[1]を当てることがポイントです。
この筋肉ですが、グローバルマッスルとローカルマッスルに大別されます。
今回は、グローバルマッスルとローカルマッスルについてまとめていきます。
グローバルマッスルとローカルマッスル【筋肉】
グローバルマッスルとローカルマッスルについて図に示しています。
主に骨盤−腰椎部に位置する筋群ですが、グローバルマッスルは4つ、ローカルマッスルは8つの筋群となります。
・体幹の不安定性がある
・体幹に非対称性がある
・体幹に弱化がみられる
このような体幹に問題を抱えるケースは、臨床的に多いかと思います。
どのように不安定?
何が弱い?
アプローチを進めていくには、これらに答えられなければなりません。
グローバルマッスルとローカルマッスルの関連性や左右差、課題ごとの各筋群の優先性などセラピーの中ではダイナミックな評価が求められることも多いです。
このように体幹の動きを3次元的に捉え、ひとりひとりにあわせたセラピーを進めていくのに経験が必要であるのも事実です。
基本中の基本ですが、筋肉がどのような位置関係になっているかを頭に入れながら観察分析を深めましょう。
次はグローバルマッスルの4つの筋群を確認します。
グローバルマッスル【4つの筋肉】
大きく長さがあり、力のある筋群です。
時々、「体幹を強くするには腹筋をしたらいいですか?」と聞かれることがあります。
間違いではないですが、グローバルマッスルには腹直筋の他にも筋肉があります。
また、ローカルマッスルとの同時収縮や協調性が大切です。
側腹部を鍛えるのであればサイドブリッジがおすすめですし、内外腹斜筋を鍛えるのであれば回旋運動が必要です。
体幹の強さにはグローバルマッスルとローカルマッスルの相互作用を理解しながら、最適な安定性を目指していくことが大切と考えます。
では、「最適」であるということはどのような状態でしょうか。
「最適」とは、すぐに動ける準備ができている状態と考えます。
そのためには、ローカルマッスルが重要な役割を担います。
次に、ローカルマッスルの8つの筋群を確認します。
ローカルマッスル【8つの筋肉】
多裂筋は仙骨部から起始していています。
腹横筋は深部に位置し直接触れることはできませんが、内腹斜筋を触診することで間接的に筋収縮を確認できます。
横隔膜も忘れずに覚えておきましょう。
腹横筋を高めるためのドローインは、すぐにうまくできない方もいて練習が必要なことも多いです。
横隔膜や呼吸筋の解剖の理解や、適切に腹横筋の筋収縮が動員されているか確認することが大切です。
これら深層に位置する筋群が、脊柱の分節運動の制御に貢献してくれています。
グローバルマッスルとローカルマッスル【片麻痺】
課題・環境とあわせて、ひとりひとりの個別的な潜在性を評価していく必要があります。
まずは姿勢による影響を確認してみましょう。
「座位では体幹をまっすぐにしていられないけれど、立位では伸びることができる」
このようなケースはセラピー姿勢は立位を選択し、筋肉の活性化を図っていくことが効率的です。
また持久性についても大切な要素です。
疲れやすく、時間経過とともにグローバルマッスルの代償が強まり、痛みにつながってしまうケースもいます。
この場合、ローカルマッスルにアプローチし、グローバルマッスルの過剰な活動を軽減できないか探ってみます。
健常者にくらべて、本人の意識や随意運動によるコントロールが難しいケースが多いです。
そのため、触診による筋肉への刺激、筋収縮のタイミングや強さのアシストなど、セラピストが担う役割は大きいと考えます。
単一の筋肉のみならず、課題や環境にあわせて各筋群が協調的に活性化できることを目指しましょう。
まとめ
本日は、グローバルマッスルとローカルマッスルについてまとめました。
課題・環境にあわせて、求められる筋群の役割を理解しつつアプローチを進めていくことが大切と言えます。
基本的ですが、解剖学的な構造をしっかりと頭にいれ、動きの観察分析を深めていきましょう。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.Kellie C. Huxel Bliven et al.Core Stability Training for Injury Prevention.Sports Health. 2013
2.Akuthota V, Nadler SF.Core Strengthening.Arch Phys Med Rehabil.2004