【股関節】筋肉のつっぱり「痙縮」
脳卒中後の片麻痺者は、姿勢保持や歩行、上肢機能にさまざまな制限が生じます。
麻痺による下肢筋群の過活動は、臨床場面でも観察されることが多いです。
・足が伸びにくい
・ズボンの着替えが大変
股関節の筋過活動は、リーチ&グラスプ、歩行、バランス、日常生活の場面で多くの制限となります。
はじめに、痙縮の定義から確認していきます。
痙縮の定義
「速度依存的」の観点は、非常に重要と言えます。
日常生活動作を考えてみます。
・下肢の清拭で援助することがある
・おむつ交換に援助が必要である
痙縮の視点で考えると、これらの動作に素早く伸ばすような援助は控えるべきと言えます。
素早い筋肉の伸長がさらなる過活動を引き起こす可能性があります。
また、筋過活動による短縮は、さらなる生活の制限につながるため予防が必要です。
過活動の起こる可能性のある筋群の理解は、効果的なセラピーを展開するためにも重要です。
【股関節屈曲】過活動を示す可能性のある筋群
股関節屈曲の過活動を示す筋群を確認します。
起き上がり動作や立ち上がり動作など、股関節の屈曲が強く出現する症例は6つの筋群を確認しましょう。
股関節が屈曲が持続的に強く、緩むことができなければ、立位で足底を床につくことも難しくなります。
関連して体幹の屈曲が強まると、さらなる抗重力伸展活動の制限へとつながり、上肢機能にも影響します。
【股関節内転】過活動を示す可能性のある筋群
股関節内転の過活動を示す筋群を確認します。
股関節屈曲と併せて、強く内転する症例は6つの筋群を確認しましょう。
股関節の内転が強い場合、立位姿勢はナローベースとなりやすいです。
立位姿勢が不安定な場合、支持基底面を広げることが不十分となるため、転倒の危険性が高まります。
また、日常生活ではズボンの着脱に援助が必要となることが少なくありません。
介護の視点
ベッド上の介護を余儀なくされている場合、股関節の可動性の維持は重要と言えます。
・陰部の清拭、衛生管理
・体位変換
「股関節が伸びない・開かない」状況は、介護者する側、される側双方の負担につながります。
ケアの視点から考えても、屈曲内転の筋過活動を予防することが大切と考えます。
セラピーを考える
股関節の伸展外転の筋群を十分に活性化することが大切といえます。
臨床上、拮抗筋に弱化や粘弾性の低下がみられていることも少なくありません。
・随意運動が可能であれば、伸展外転運動をセルフトレーニングに取り入れる
長期のマネージメントを考えたケアができると良いと考えます。
まとめ
本日は、【股関節】筋肉のつっぱり「痙縮」についてまとめました。
股関節の筋群は、立位・歩行とする抗重力姿勢において重要です。
また、日常生活で介護を必要とする方においても、過活動・短縮を予防することが大切と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.Angshuman Mukherjee,et al.Spasticity Mechanisms – for the Clinician.frontiers in neurology.2010