「機能を引き上げ、日常生活に定着させる」経験依存的神経可塑性を考える

「リハビリの時間にはうまく動けるのに、家に帰ると同じようにはいかない。」

そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

できるようになっても、そのまま生活で使えるとは限りません。

この「できる」と「使える」の違いを考えるとき、経験依存的神経可塑性という視点がヒントになります。

「経験依存的神経可塑性」とは

経験依存的神経可塑性とは、繰り返し経験した動きや行動が、脳や神経の働きを変えていく性質のことです。

・料理で考えると?
レシピを読むだけ → うまくならない
実際に何度も作る → 上達する
→ 上達は「経験依存的
・運転で考えると?
教科書の知識だけ → 運転できない
実際に運転する経験 → 安定して運転できる
→ これも「経験依存的

脳や身体は「使われた動き・感じた感覚・成功や失敗の体験」に応じて変化するため、

・どんな練習をしたか
・どんな場面で使ったか
・どれだけ意味のある体験だったか

ここはセラピーを進めていく上で重要な視点と考えます。

経験依存的神経可塑性の原則

【経験依存的神経可塑性の原則】(1)
1.使わなければ失われる(Use It or Lose It)
2.使えば向上する(Use It and Improve It)
3.特異性(Specificity)
4.反復は重要である(Repetition Matters)
5.強度は重要である(Intensity Matters)
6.時間は重要である(Time Matters)
7.意味・重要性は重要である(Salience Matters)
8.年齢は重要である(Age Matters)
9.転移(Transference)
10.干渉(Interference)

神経可塑性の10原則の理解は重要です。

これらの要素をセラピーの中に組み込むことが不可欠となります。

機能的で、反復され、報酬づけられ、かつ一定期間にわたって実施される活動が必要であることが示されています。

基本原則を理解して、一人一人にあわせてカスタマイズすることが大切と考えます。

麻痺側の上肢・手指機能を引き上げ、日常生活につなげる【事例】

麻痺側の上肢・手指機能の機能回復を考えます。

【上肢機能】
引き上げる機能
・肩関節の安定
・上肢を支持した状態で保てる
日常生活の具体例
・テーブルに手をついて体を支える
・立ち上がり時に手を添える
・洗面台で体を支える
【手指機能】
引き上げる機能
・親指と指を分けて使える
・指先でつまめる
日常生活の具体例
・ボタンを留める
・ファスナー・袖をつまむ
・薬の包装を開ける

生活の中で意味をもって使われた上肢が、「使われる手」として残っていきます。

【脊髄損傷】体幹機能を引き上げ、日常生活につなげる【動画】

寝返り動作ができるようになっても「繰り返してください」では定着しにくいのが現実です。

おむつ交換など、毎日必ず行われる介助場面に寝返り動作を組み込むことで、生活の中で自然な反復が生まれます。

意味のある反復こそが、体幹機能をさらに高め、安定させていきます。

まとめ

「できる」と「使える」の違いを理解することは大切です。

機能を引き上げ、日常生活に定着させるに、経験依存的神経可塑性という視点は重要と考えます。

基本原則を理解して、一人一人にあわせてカスタマイズすることが大切と考えます。

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

References

1.Jeffrey A. Kleim,Theresa A. Jones.Principles of Experience-Dependent Neural Plasticity: Implications for Rehabilitation After Brain Damage.Journal of Speech, Language, and Hearing Research.2008

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