【片麻痺の上肢】肩甲骨の運動を考える

肩甲骨は下肢体幹と上肢をつなぐ運動連鎖の役割として重要です。

片麻痺者の移動能力・上肢機能において、肩甲骨の役割は大切と言えます。

・「腕が重たい」
・「肩が痛い」
・「肩が重くて歩きにくい」

臨床場面では、肩甲骨の運動障害を呈している片麻痺者を経験します。

肩甲骨の効率的な動きの獲得はセラピーにおいても大切なポイントです。

はじめに肩甲骨の運動について確認します。

肩甲骨の運動

基本的ですが肩甲骨の動きを確認します。

挙上−下制
内転−外転
上方回旋−下方回旋
前傾−後傾

臨床場面では、後面(背中側)からアライメント・動きを観察し、操作を進めます。

動かすときは、3次元的に捉えていくことがポイントとなります。

例えば、不安定性な肩甲骨の操作は、後傾の安定を保ちながら上方回旋を誘導し、肩関節の動きを拡大していくなどです。

個々のケースで肩甲骨の動きの左右差、動きの抵抗感、硬さなど特徴を捉えましょう。

片麻痺者の肩甲骨の特徴

肩甲骨は構造的には不安定であり、筋肉による制御が大切です。

・アライメント
・動きの問題
・痛み

これらの関連性を推論しつつ、動きを構成する筋肉を理解することが大切と言えます。

例えば、肩甲骨は後退していて、僧帽筋上部の過活動がみられる場合、上肢挙上にインピンジメントが起こるかもしれません。

個々のケースで筋活性化パターン、筋肉の弱化や過活動を捉え、動きを構成する筋群を理解できると良いかと思います。

肩甲骨と鎖骨の運動

肩甲骨とあわせて、鎖骨の運動も忘れてはいけません。

胸鎖関節と肩鎖関節

肩甲骨とあわせて動きを捉えていくことが大切と言えます。

筋肉の粘弾性が低く、弱化を呈している場合、鎖骨の挙上運動が起きにくいことを経験します。

鎖骨の動きを捉えることが難しければ、運動パターンの左右差を比較すると理解がしやすいかと思います。

肩甲骨と同様に3次元的に動きを捉えていくことが大切と考えます。

フォースカップル 上肢挙上と肩甲骨

上肢挙上と肩甲骨の動きを構成する筋群の理解は大切です。

筋肉の活性化パターンの組み合わせ

動きのシークエンスと動きを構成する筋群を捉えることが大切です。

・前鋸筋と僧帽筋
・運動軸の変化

上肢挙上の角度にあわせて、上記の変化はポイントと言えます。

臨床的には、肩峰の挙上が難しいケースを多く経験します。

動きの制限となる問題を特定できることがセラピーにおいては大切です。

まとめ

本日は、【片麻痺の上肢】肩甲骨の運動を考えるというテーマで書きました。

肩甲骨の効率的な動きの獲得はセラピーにおいても大切なポイントです。

個々のケースで肩甲骨の動きの特徴を捉え、アプローチへつなげていけると良いかと思います。

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.W Benjamin Kibler et al.Scapular dyskinesis and its relation to shoulder injury.Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons.2012

2.W Ben Kibler , John McMullen.Scapular Dyskinesis and Its Relation to Shoulder Pain.Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons.2003

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