筋肉の長さを最適に保つ意義
脳卒中後のリハビリにおいて筋肉の評価は重要です。
麻痺を呈する筋肉を考えます。
・痙性麻痺により、筋肉は短く縮んでいる
筋肉は適応する性質がありますので、時間経過とともに筋肉の長さに変化が生じます。
短すぎず、長すぎず、筋肉の長さを最適に保つことが大切です。
とはいえ、最適には幅があり、個人差があるのも現実です。
はじめに、筋肉の長さと張力の関係について確認します。
筋肉の長さと張力の関係
最適な長さを保つことは、最大の張力を発揮するため[1]に重要です。
筋肉の長さは、関節角度によっても変化します。
姿勢により発揮される力の強さに違いがあることは経験があるかと思います。
例えば、徒手筋力検査の結果と機能的な筋活動が常にイコールではないことはそのためです。
長すぎる筋肉を短く縮める、短すぎる筋肉を伸ばすなど、筋肉のアライメント修正で筋活動が変化することは臨床的に経験することです。
発揮される筋活動から、最適な長さを推論していくことが大切と考えます。
長期間の固定化が筋肉の長さと硬さに及ぼす影響
筋肉の短縮による張力への影響[2]が示されています。
効率的な運動には、さまざまな関節運動で最適な強さ、タイミングでの筋活動が重要です。
筋肉の短縮・硬さは、発揮される筋活動に影響します。
筋肉の長さを最適に保つことで、緩やかな筋肉の働きにつながります。
パフォーマンスに影響する筋肉を丁寧に触診し、長さ・硬さを評価することが重要と言えます。
筋線維の長さとサルコメアの変化
筋肉は適応する性質があります。
筋原線維のサルコメアの数、長さにも変化[3]が生じています。
②痙性麻痺を呈する足関節
これらは、臨床現場で遭遇することが多い臨床像です。
①は姿勢によって引き伸ばされる筋肉を、ポジショニングやシーティングによって最適な長さで管理することが大切です。
②は、短縮位での長期間の固定を避け、セルフケアもあわせて定着することが大切と言えます。
いずれも、筋肉の長さを最適に保つため、早期からの管理が重要と考えます。
筋肉の長さはサルコメアの数を決定する
サルコメアの数は、筋肉の長さに感度をもって変化すること[3]が示されています。
セラピーの経過から、発揮される筋活動に変化が生じるかと思います。
動かすことができる関節範囲が広がっていくと、筋肉の長さの変化も大きくなります。
そのため、過度な固定・安定は、機能的な活動を妨げる可能性が考えられます。
パフォーマンスにあわせて、ポジショニングやシーティングを柔軟に更新していくことがポイントと考えます。
不動・短縮を起こさないこと
脳卒中後の不動・短縮のメカニズムを理解しましょう。
・拘縮(Contracture)
・筋過活動(Muscle overactivity)
3つの関連性を捉えることが重要です。
脳卒中後の麻痺により、不動を余儀なくされると軟部組織の短縮が生じます。
また、不安定な姿勢、日常生活の手の不使用、歩行の制限は、適切なセラピーが提供されない場合、ネガティブな学習につながります。
経過とともに、筋過活動を引き起こし、さらなる拘縮が、過活動を助長する結果となります。
痙縮を呈する場合、筋肉の短縮を予防し、いかにポジティブな学習へとつなげられるかがポイントになります。
まとめ
本日は、筋肉の長さを最適に保つ意義というテーマで書きました。
脳卒中後リハビリにおいて、筋肉の評価は重要です。
問題となる現象を捉え、関連する筋群を評価し、早期から管理することが大切と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。