【歩行】 上肢と下肢のリズミカルなCPG制御
ヒトの運動に対するCPGの寄与を評価するには、歩行時の上下肢のリズミカルな運動パターンから推論することが一つの方法です。
片麻痺者の歩行を考えてみます。
・上肢はバランス制御に使用され、腕振りはみられない
・歩行サイクル全般で股関節は屈曲している
環境や課題に応じて運動パターンは変調され、適応し学習していきます。
歩行におけるCPGネットワークの寄与を考える上で、歩行の制御システムの理解は重要と考えます。
歩行の制御システム
歩行の制御システム[1]が示されています。
・CPG(脊髄)
・フィードバック(運動/感覚)
【歩行制御】四肢のCPG制御
屈筋伸筋の運動調整に貢献するCPG回路が示されています。
同側の上肢と下肢、両側の上肢にも相互接続があるのは重要な点と考えます。
片麻痺者の歩行は、非麻痺側の上下肢の過剰な屈筋活動は代償活動として多く経験します。
いかにして、伸筋活動を引き出し、スタンスにつなげるかが大切と考えられます。
また、上肢の歩行援助から、下肢のリズミカルな運動パターンの出現につながることもあります。
各肢の相互接続を理解し、CPGの相互作用を分析していくことが重要と考えます。
四肢のリズミカルなCPG制御
さらに、運動パターンの調整や協調に寄与するCPGの接続の強さを知っておくと良いです。
・同側性
・対側性
・対角性
歩行時の各肢の観察に3つの視点の関連性を分析できることがポイントと考えます。
麻痺側下肢が、各肢の運動パターンにどのように影響しているか
非麻痺側下肢が、各肢の運動パターンにどのように影響しているか
つまり、全身を観察分析することが大切といえます。
上肢・下肢の神経結合
「歩行」というタスクを、いかにプログラムに取り入れるかを考えさせられます。
歩行練習の一つトレッドミルでは、速度・傾斜・(可能なら)免荷量を調整し、上下肢の運動パターンの変調から神経結合を分析できる可能性があります。
また、脊髄損傷者でのセラピーにおいては、「歩行練習の意義」を考える根拠となるかと思います。
歩行を誘発する脊髄神経回路網
運動課題に必要な筋活性化のパターンは、介在する神経細胞群によって媒介されていていることがわかります。
そしてこれらの経路は、末梢の感覚フィードバックと多感覚情報に基づく脳からの入力によって、課題や環境にあわせて最適に調整されています。
障害物回避や不整地環境では、歩行リズムやパターンが変化します。
想定される感覚入力と運動出力の変調パターンから、セラピーの仮説検証を進めていくことが大切と考えます。
まとめ
本日は、【歩行】 上肢と下肢のリズミカルなCPG制御というテーマで書きました。
「リズムよく歩きたい」というニーズは多いかと思います。
歩行におけるCPGネットワークの寄与を考え、歩行の制御システムを理解しセラピーを進めていけるとよいかと思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
1.E Paul Zehr et al.Regulation of arm and leg movement during human locomotion.Neuroscientist.2004
3.Volker Dietz.Do human bipeds use quadrupedal coordination?.Trends Neurosci. 2002
5.高草木薫,【歩行】 歩行の神経機構Review.Brain Medical 19(4), 307-315, 2007-12