【歩行観察】すくみ足の特徴

歩行時のすくみ足は、転倒の危険につながる現象です。

歩き始めに一歩が出ない
方向転換で一歩が小さくなる
椅子に近づくと動きが止まる

これらの現象は、臨床場面でも遭遇することがあります。

「足を出そうとしても出ない」
「根っこが生えたみたいだ」
「足がひっついてる感じ」

患者さんは、足が出ない現象をさまざまな訴えで表現されます。

歩行観察から、すくみ足の特徴を捉えることはリハビリを進めていく上で大切です。

はじめに、歩行サイクルについて確認していきます。

歩行サイクル

セラピストは、歩行観察からすくみ足を表現します。

基本的ですが歩行サイクルの用語を確認します。

・歩幅(Step length)
・ストライド長(Stride length)
・ストライド幅(Stride width)

歩行周期において、上記3つの変化を確認しましょう。

例えば、ナローベースとなる場合「ストライド幅が狭くなる」と言えます。

歩幅は、一側下肢と対側下肢の距離を観察することとなります。

すくみ足出現時の歩行サイクルの変化点を見逃さないことが大切です。

すくみ足歩行とは

すくみ足歩行は、英語で「Freezing of gait(FoG)」と表現されます。

freezing=凍結

歩行中に「フリーズ」「固まる」という状況になってしまう感じでしょう。

歩行観察において、歩幅の変化はポイントとなります。

通常、転倒の危険性が高ければ、ベースオブサポート(ストライド幅)を広げるような代償戦略が考えられます。

しかし、すくみ足歩行時は、ベースオブサポート(ストライド幅)は狭く、代償戦略の働きが不十分となっていることを経験します。

転倒を回避するためには、いつ、どのような環境で、どれくらいの時間にFoGがみられるか観察することが重要です。

パーキンソン病患者のすくみ足歩行

FoGの時間をみると、長時間続くわけではないです。

約5〜10秒

時間はリハビリのひとつの評価指標となります。

さらに、歩行観察の視点として、膝関節の着目は有用である可能性があります。

例えば、アプローチに外部刺激(視覚・聴覚)を用いる場合など、上記は観察ポイントと考えます。

歩行誘発野と歩行の実行系

FoGを理解する上で、歩行開始の神経システムは大切と考えます。

【FoGの関与が考えられる脳領域】
前頭葉皮質領域、基底核、中脳の運動領域
の障害がFoGの起源である可能性[2]

下行性の脊髄上の制御とあわせて、末梢の感覚フィードバックによる、リズミカルな下肢運動にどう貢献しているかを推論していくことが大切です。

病変部位や程度から、影響する神経システムを考察してくことが重要と考えます。

まとめ

本日は、【歩行観察】すくみ足の特徴について書きました。

歩行観察から、すくみ足の特徴を捉え、アプローチにつなげることが大切と考えます。

難しいかもしれませんが、現象の背景にある神経システムを推論し、観察・分析を進めることが大切と考えます。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Michelle H. Cameron, Linda Monroe.Physical Rehabilitation for the Physical Therapist Assistant.Elsevier Health Sciences, 2014.pp509-510

2.John G Nutt et al.Freezing of gait: moving forward on a mysterious clinical phenomenon.Lancet Neurol. 2011

3.高草木 薫,【ニューロリハビリテーションにおけるサイエンス-臨床と研究の進歩】 運動麻痺と皮質網様体投射,脊椎脊髄ジャーナル,2014

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