【片麻痺】心不全を合併するケースの運動療法

高齢化に伴い、重複障害を抱えるケースが増えているかと思います。

特に内部障害(呼吸・循環器)を既往・合併症にもつケースに遭遇する機会も増えました。

脳卒中後の片麻痺を呈するケースは、身体を動かすことによりエネルギーを必要とします。

そのような中で、心疾患があると、積極的なセラピー介入が難しいケースもしばしばです。

今回は、片麻痺に心不全を合併するケースの運動療法についてポイントをおさえて考えていきます。

心不全の運動療法の禁忌

まずは、心不全の運動療法の禁忌をおさえておきましょう。

セラピー介入前のアセスメントから、運動療法をすすめてよいか判断する必要があります。

「片麻痺」として、リハビリ対象となるケースも、既往歴や合併症は必ず確認しておきましょう。

特に、心原性脳梗塞の方は

・麻痺の重症度
・心機能の重症度

この2つの掛け合わせから、どの程度の運動療法が適正なのかを予測していくことが大切です。

重複障害を抱えるケースは、プログラムの個別性が必然的に求められます。

セラピー介入前のアセスメントから、起こりうるリスクを可能な限り予測しておくことが必要と考えます。

心不全の運動療法における運動処方

心不全の運動療法における運動処方を考えます。

急性・慢性心不全診療 ガイドライン[1] で明記されている内容は、「心不全」の方に対するものです。

臨床的に、重複障害を考えると個々の抱える疾患を掛け合わせて判断しなければなりません。

 

片麻痺ケースの場合、麻痺の重症度にあわせた運動強度の設定する、

失語症があるケースは、症状の訴えが聴取できない場合も想定されます。

 

必然的に、個別の運動処方の設定が必要となります。

バランス能力を高めると循環系への負担を減らせる?

バランス能力を高めると循環系への負担を減らせる可能性があると考えます。

片麻痺ケースを考えると、

・立ち上がり動作の息をこらえ
・立位保持に強い力で手すりを握る
・歩行時に努力的な代償活動

これらは、一度は経験があるかと思います。

 

このような動作の問題でおこる循環変動は、

セラピーを通して、動きやすい身体にできれば過剰な労力をへらせる可能性があると考えます。

 

麻痺と心機能の関連性を考えていくことが、今後は大切な視点かと思います。

脳卒中の再発予防を考える

脳卒中の再発予防の視点も大切です。

個別の運動処方を患者さんにフィードバックできれば、日々の運動を見直すきっかけになるかもしれません。

「どのくらい運動したらよいかわからない」
「疲れるから動かない」
「疲れても気にせず動いている」

このような方には、適切な運動についての情報提示が有益かと思います。

まとめ

今回は、片麻痺の心不全を合併するケースの運動療法について考えました。

今後は、セラピーをすすめていく時に、重複障害を含めたアセスメントが求められます。

また、脳卒中の再発予防はその方の人生にも関わる大切な視点です。

 

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.急性・慢性心不全診療 ガイドライン(2017年改訂版) Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure (JCS 2017/JHFS 2017) pp121-122 

2.J Hata,et al. Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study.J Neurol Neurosurg Psychiatry.2005

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