感覚入力を考える
運動と感覚は密に関連しています。
・「腕が重たい」
・「立ちにくい」
これらの訴えは、主に運動面の難しさから表出される表現と言えます。
運動の問題を解決するためには、言葉の背景にある「感覚入力」を推論していくことが非常に重要と考えます。
はじめに、中枢性運動障害について確認します。
中枢性運動障害
脳卒中による麻痺や運動パターンの不適応[1]が生じます。
病変部位や程度から麻痺の重症度、四肢の運動パターンは異なり、時間経過とともに代償パターンに個別性が生じます。
視覚的に観察される問題となる現象は、「運動出力」を診ていると言えます。
背景となる目には見えない「感覚入力」の影響を推論していくことが大切と言えます。
運動出力における体性感覚入力の役割
運動出力における体性感覚入力の役割[2][3]が示されています。
脳卒中後の運動分析は、体節の位置関係や動きのシークエンス、予測的姿勢制御や代償的な姿勢制御など、課題はさまざまです。
運動出力に影響する感覚の手がかりを探ることが大切と言えます。
【片麻痺】リーチ動作から感覚を考える
片麻痺患者さんのリーチ動作を考えます。
練習初期は、動作はぎこちなく過剰な視覚・体性感覚のフィードバックへの依存が目立ちます。
練習中期に、リーチ動作における筋動員パターンとタイミングの同期が生まれ、多くの注意を必要としなくなってきます。
後期には、性格かつ迅速な感覚・運動制御による動作が可能なっていきます。
単純な例を挙げましたが、運動スキルの学習過程においても感覚入力の理解は大切と言えます。
感覚と運動:フィードバックとフィードフォワード
動作におけるフィードバックとフィードフォワードの相互作用[5]が示されています。
・歩行開始の下肢運動に伴い、近位筋は安定しているか
脳卒中後の運動分析に、近位の安定性と遠位の運動性を注意深く観察しましょう。
「動作から考えられる不足している感覚入力はなにか?」と仮説を立てましょう。
アプローチを通して、運動との関連性を検証していくことが重要と考えます。
まとめ
本日は【脳卒中後のリハビリ】感覚入力を考えるというテーマで書きました。
「感覚」は目に見えないので、わかりにくい面も多いかもしれません。
ですが、運動を分析するために「感覚入力」の影響をなしにすることはできません。
難しいかもしれませんが、感覚運動の相互作用を考えつつ、観察・分析を進めることが大切と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
2.Randolph J Nudo.Postinfarct cortical plasticity and behavioral recovery.Stroke.2007