【片麻痺】 筋肉の過活動・低緊張を考える
脳卒中後の片麻痺者は、姿勢保持や歩行、上肢機能にさまざまな制限が生じます。
これらの機能回復を考える上で、筋肉の活動を捉えることは重要と言えます。
特に、筋肉の過活動と低緊張を捉えることは、動作の制限となる要因の分析にもつながります。
はじめに、上位運動ニューロン障害について確認していきます。
上位運動ニューロン障害
中枢神経障害の症例は、上位運動ニューロン障害が生じます。
リハビリの対象となる脳卒中および脊髄損傷者は、病変部位や程度、発症からの経過にあわせて多様な臨床像を呈します。
・足部の過活動によりで足が引っかかる
・上肢の操作性が不十分でものを持てない
臨床場面では、筋肉の過活動や低緊張が混在していることも多いです。
また、適応や学習の結果、経過とともに筋活動には変化がみられます。
痙縮に関する運動障害の3つのメカニズム
手足のつっぱり「痙縮」に関する3つのメカニズム[2]が示されています。
・麻痺(Paresis)
・拘縮(Contracture)
・筋過活動(Muscle overactivity)
3つの関連性を捉えることが重要です。
脳卒中後の麻痺により、不動を余儀なくされると軟部組織の短縮が生じます。
また、不安定な姿勢、日常生活の手の不使用、歩行の制限は、適切なセラピーが提供されない場合、ネガティブな学習につながります。
経過とともに、筋過活動を引き起こし、さらなる拘縮が、過活動を助長する結果となります。
これらのループを考えつつ、セラピーの提供を通して、いかにポジティブな学習へとつなげられるかがポイントになります。
【UMN】陽性徴候と陰性徴候
臨床場面では、足部の底屈内反など目に見える現象として着目することが多いかもしれません。
クローヌスやスパズムも同様かと思います。
一方で、粘弾性が低下している筋肉も存在します。
例えば、肘が強く曲がってしまい上腕二頭筋の過活動がみられている症例。
このとき、拮抗筋である上腕三頭筋は低緊張であることが少なくありません。
あるいは、足部の過活動が強く、足底を床面に接地できない症例。
このとき、近位の股関節伸展筋、下部体幹筋に弱化がみられることもあります。
陽性徴候と陰性徴候の両視点から臨床像を捉えてることが大切と言えます。
セラピーを考える
以上のことから、どのようなセラピーを提供すべきか考えます。
安静を選択しても過活動の軽減にはつながらないと言えます。
活動を制限することによる、陰性徴候の影響を考慮すべきです。
また、過活動の筋肉は神経原性のものか、非神経原性のものかを区別することが大切です。
筋肉の弱化による不安定性のため、他の筋肉が過活動を呈している可能性もあります。
この場合、過活動を軽減することはさらなる不安定性につながる可能性が高いです。
筋肉の弱化を活性化し、最適な筋肉の長さを確保することが大切であり、運動動作につなげることで機能維持へとつながると考えます。
まとめ
本日は、【片麻痺】筋肉の過活動・低緊張について考えました。
筋肉のコンディションを最適化ことは、感覚運動経験のためには大切と言えます。
過活動・低緊張の筋肉を丁寧に分析し、動作とのつながりを考えていけると良いかと思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
あわせて読みたい