行動・経験・学習と神経可塑性

脳卒中後は麻痺を呈する身体で、運動スキルの再獲得が求められます。

・手が使いにくい
・歩きにくい
・立ちにくい

病変部位や程度により、残存する機能はさまざまです。

効率的・効果的な機能回復を促進するためには、基盤となる神経可塑性について理解することが大切と考えます。

大脳皮質の経験に依存する可塑性について確認します。

大脳皮質の経験に依存する可塑性

運動スキルの上達には、行動・経験を通して課題への適応を促進していくことが大切です。

つまり、「不動」は最も良くない環境であることが言えます。

では、過去の経験と同じような動作の反復から学習につながるのでしょうか。

感覚運動に問題を呈する場合、新たに運動スキルを学習しなければならないかもしれません。

残された神経の数だけではなく、その神経がどのように機能し、どのような結合を作ることができるか推論することが重要と言えます。

経験・行動・動機づけ

人が「行動」を変えるときは、どのようなときでしょう。

単に「経験」だけでは足りないかもしれません。

「できる、動ける、使える」(経験)↔運動スキルを学習することの喜び・嬉しさ(感情)
→行動の変化・モチベーション(動機)

セラピストは、動機づけのタイミングを見逃さないことが大切と考えます。

運動学習と神経可塑性

運動学習により、ニューロンの形態が変化することを知っておきましょう。

とはいえ、臨床場面でニューロンの変化を実感することは(特殊な環境にいない限り)ないかもしれません。

では、なぜこの知見が重要なのでしょうか。

新たな運動スキルを獲得できるのは、脳が病変を補う潜在的な能力を持っているためと言えます。
セラピー介入は、神経可塑性を促進するような刺激であることが重要と考えます。

個人・課題・環境の相互作用

効率的・効果的な学習につなげるためには、どうすればよいでしょうか。

個人・課題・環境の相互作用

ここから考えてみます。

例えば、端座位保持が不十分な片麻痺ケースがいます。

個人:患者さんの体幹機能
課題:端座位の保持
環境:座面の高さ、支持物の有無

セラピーを通して、体幹機能が活性化すれば、端座位の保持能力が向上します。

体幹機能・座位能力にあわせて車椅子のシーティング調整(環境)を変えていくことでセラピー効果を日常生活に汎化することができます。

そして、セラピーの進捗にあわせて常にアップデートされていくことが望ましいです。

長く変化がみられていないときは、個人・課題・環境の相互作用を見直したほうが良いかもしれません。

まとめ

本日は、行動・経験・学習と神経可塑性について考えました。

セラピーを通して、運動スキルを効果的・効率的に学習につなげていくことが求められます。

セラピストのアプローチは神経可塑性に寄与している可能性を考え、日々のアップデートが大切と考えます。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Marcela Pekna,et al.Modulation of Neural Plasticity as a Basis for Stroke Rehabilitation.stroke.2012

2.Randolph J Nudo et al. Role of adaptive plasticity in recovery of function after damage to motor cortex.Muscle Nerve.2001

3.B B Johansson.Brain plasticity and stroke rehabilitation. The Willis lecture.Stroke.2000

4.Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott,  Motor Control: Translating Research Into Clinical Practice.Lippincott Williams & Wilkins, 2007-p158

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