立位バランスと足部

片麻痺者の立位バランスの特徴を捉えることは大切です。

・支持基底面
・COM
・COP
・安定性限界
・アライメント

立位バランスのバイオメカニクス的特性は、これらの相互作用を捉えていくことが重要かと思います。

・立っているとゆらゆら揺れている
・足部がしっかり着くことができず不安定
・身体が固定的ですぐに倒れてしまう

片麻痺者の立位バランスを評価は、操作者の少しの揺れに抵抗したり、バランスを崩してしまったりすることを経験します。

繊細かつ丁寧な操作が求められることが多いです。

まずは、静止立位の圧力中心の変化から確認していきます。

静止立位の圧力中心(COP)変化

ヒトの静止立位は、倒立振子のように身体の揺れがみられ、足関節戦略の貢献が大きいと言えます。

COPの揺れは1〜2cm
関節運動は1〜2°

ごく小さな圧の変化を足部がセンサーとして感知し、バランスを制御していると言えます。

この小さな揺れは、呼吸運動も関与します。

・大きく揺らしすぎない
・早く動かしすぎない
・呼吸運動にあわせる

これらは、立位バランスを評価するときのポイントと考えます。

立位バランス制御:支持基底面と筋電図

BOSの変化に対する筋活動パターンについて示されています。

足関節戦略と股関節戦略を捉えることが大切です。

さらに、体幹や頸部の働きも合わせて捉えていく必要があります。

臨床場面では、下肢の筋活動の働きが不十分なケースに、頭頸部に代償的な過活動がみられることを経験します。

これは、姿勢反応に頸部筋の過剰な動員の学習結果かもしれません。

立位バランスは全身を診る

基本的ですが、ここは大切な視点と考えます。

立位の姿勢制御 足部の役割

立位のBOSは足部です。

【筋緊張とアライメント】
・過緊張による、足部内反
・低緊張による、外反扁平

足部が接地できなければ、BOSの役割を果たせません。

荷重感覚が乏しければ、COPの変化を知覚は不十分となります。

足部の内側と外側の縦アーチ、前と後の横中足骨のアーチは、荷重を伝達するためには重要と言えます。

さらに、足部の細かな動きを制御するには足部内在筋の最適な長さ・張力の変化が大切です。

次に足部内在筋について確認します。

足部内在筋の構成

足部の外在筋である、腓腹筋やヒラメ筋、前脛骨筋の働きが大切なのは言うまでもありません。

加えて、足部の細かなアーチの変化を制御するために、足部内在筋は臨床的に非常に重要です。

・足部内在筋の粘弾性が低下している
・足部外在筋に過活動がみられる
・足部の変形により、足底全体を接地できない

足部内在筋は一つ一つが小さな筋肉ですので、丁寧に触診し確認していくことが大切です。

足部外在筋・内在の相互作用を捉えつつ分析していきましょう。

歩行開始のCOP変位

立位バランスは、その後の歩行開始を考える上で重要です。

両側の後足部に荷重できる

ここは歩行開始のための、立位バランスに大切な要素かと思います。

「足を一歩出す」という動作のCOPの軌跡は両側の後足部を辿ります。

片麻痺者では、麻痺側の後足部での荷重が難しいことを多く経験します。

歩行の安定につながる、立位バランスを目指しましょう。

まとめ

本日は、立位バランスと足部というテーマで書きました。

立位バランスの評価は、臨床場面でも行う機会が多いかと思います。

1ケース1ケース特徴は異なりますが、丁寧に分析し、セラピーにつながる評価ができると良いかと思います。

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

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