皮質網様体脊髄路と近位筋の弱化

脳卒中後の姿勢運動分析を進める上で、近位部と遠位部の能力を評価することは大切です。

・近位筋(体幹・股関節・肩関節)
・遠位筋(手部・足部)

臨床場面では、両者の問題が混在していることも多いのが実際かと思います。

臨床像と神経システムの整合性を確認しながら、セラピーをできると良いかと思います。

皮質網様体脊髄路と近位筋の弱化

皮質網様体脊髄路に損傷による近位筋の弱化[1]について示されています。

・皮質脊髄路(オレンジの経路)
・皮質網様体脊髄路(黄色の経路)

日々の臨床で、拡散テンソル・トラクトグラフィをサクッと確認することは難しいかと思います。

画像所見から、各経路と病変部位を見比べ、臨床像と比べてみましょう。

・「随意運動は概ね保たれているけど、姿勢保持が不安定」
・近位筋の麻痺が重たい
このようなケースは、皮質網様体脊髄路に影響が考えられます。

近位筋と遠位筋

近位筋と遠位筋の制御の理解は大切です。

・皮質網様体脊髄路:近位筋
・皮質脊髄路:遠位筋

大まかにでも、このへんは覚えておくと良いかと思います。

臨床推論を進める上で、神経システムの裏付けがあると根拠を持つことができます。

下肢の機能障害と体幹の代償

近位筋の弱化による歩行障害を考えてみます。

歩行時の「体幹側屈」

近位部に、股関節・体幹がふくまれます。

【体幹側屈の要因】
①股関節外転の弱化
②体幹の弱化・遅れ

同じ「体幹側屈」でも要因が異なる場合があります。

「近位筋の問題」に一歩深堀りをして、セラピーターゲットを明確にすることが大切と考えます。

まとめ

本日は、皮質網様体脊髄路と近位筋の弱化というテーマで書きました。

臨床場面では、皮質脊髄路と皮質網様体脊髄路の両者に影響を受けている方が多いかと思います。

臨床像と神経システムを理解し、1ケースごと丁寧に臨床推論を深めていくことが重要と考えます。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Kyung Hee Do et al.Injury of the corticoreticular pathway in patients with proximal weakness following cerebral infarct: diffusion tensor tractography study.Neuroscience Letters.2013

2.高草木 薫,大脳基底核による運動の制御.臨床神経学.2009

3.Tamaya Van Criekinge et al.Trunk biomechanics during hemiplegic gait after stroke: A systematic review.GaitPosture.2017

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