【姿勢制御】感覚の重み付けを考える
姿勢制御における感覚の重み付けを解釈できると転倒予防に役立ちます。
例えば、体性感覚が低下していると姿勢制御に視覚依存を強めることは想定できます。
このような方は、真っ暗な環境では転ぶ危険が高まるかもしれません。
また、立位姿勢はワイドベースで、ナローベースになると姿勢定位ができないケース。
ワイドベースは、足底感覚低下の影響かもしれませんし、前庭系由来の平衡障害によるものかもしれません。
一見同じようにバランスを崩していても、背景となる理由が異なることもあります。
今回は、姿勢制御における感覚の重み付けについて考えていきます。
姿勢制御における感覚の重み付け
結論から伝えます。
健常者は体性感覚(70%),視覚(10%),前庭(20%)の情報に依存している[1]と述べられています。
私たちは、感覚環境の変化に応じてリアルタイムに感覚の依存度を変化させているから転ばずにいられるのです。
暗い部屋の中で視覚の依存度が制限されれば、体性感覚や前庭への依存度が高まるかもしれません。
床面が不安定であれば、視覚や前庭への依存度が高まるかもしれません。
環境や課題にあわせた感覚運動戦略のバリエーションは、感覚の重み付けの貢献があってのことです。
姿勢制御における感覚の影響
姿勢制御における感覚の影響[2]について、神経システムとして理解しておく必要があります。
体性感覚、前庭、視覚からの感覚情報は、フィードバック&フィードフォワード双方の影響を受け、姿勢制御へ貢献していると言えます。
さらに課題や環境によってこれら相対的な重み付けは更新されるため、バリエーションは複雑であることが考えられます。
感覚の重み付けを分解していくには、体性感覚、前庭、視覚の影響を一つずつ整理していく作業が必要といえます。
立位の支持基底面は足底
立位の支持基底面は足底です。
立位における足部の観察から多くの情報を得ることができます。
可能であれば裸足での評価をおすすめします。
(ただし、皮膚の脆弱性がある方は注意)
・足部・足趾の変形の有無
・足趾の努力性の有無
・荷重感覚の知覚
・浮腫の有無・左右差
まとめ
今回は、姿勢制御における感覚の重み付けについて考えました。
「感覚」は目に見えないですし、環境や課題によってバリエーションがあるため簡単に理解するのは難しいかもしれません。
転倒予防には感覚の重み付けを個別に解釈し、セラピーを通して潜在性を探ることが大切と考えます。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。
References
あわせて読みたい