歩行における下肢筋活性化パターン

こんにちは。

最適な歩行とは、エネルギー消費が少なく、安心安全に移動できることです。

適切なタイミングと強さで筋肉が活性化することにより、適度な運動性と安定性が得られます。

脳卒中後のケースを考えると

・膝折れや反張膝が生じる

・過度に体幹が屈曲している

・伸展活動が不足している

これらは一度は経験があるかと思います。

単一の筋力トレーニングのみでは、これらの問題解決につながらないことは多いです。

本日は、歩行における下肢筋活性化パターンをポイントをおさえて考えていきたいと思います。

歩行生体力学:基本パターンの貢献

歩行観察は、前額面・矢状面・水平面の3Dで確認していくことが大切です。

上の図は、矢状面における下肢筋活性化パターンの要点となります。

1 (involving primarily hip and knee extensors) contributes to weight acceptance at heel contact in early stance, pattern no.
2 (ankle plantar flexors) contributes to body support and forward propulsion in late stance, pattern no.
3 (ankle dorsiflexors and hip flexors) contributes to foot lift-off in early to mid-swing and pattern no.
4 (hamstrings) decelerates the leg in late swing in preparation for heel contact and then stabilizes the pelvis after contact.
1(主に股関節と膝の伸筋を含む)は、初期のスタンスでのかかとの接触時の体重受容に寄与します。
2(足関節底屈筋)は、後期姿勢での身体のサポートと前方への推進に寄与します。
3(足関節背屈筋と股関節屈筋)は、スイングの初期から中期の足のリフトオフに寄与します。
4(ハムストリングス)は、かかとの接触に備えて遅いスイングで脚を減速し、接触後に骨盤を安定させます。

Francesco Lacquaniti,et al. Patterned control of human locomotion.J Physiol. 2012 

各歩行フェーズにおいて、ある程度決まった筋肉がセットで活性化しています。

単一の筋肉で考えるのではなく、各セットを構成要素として捉える視点が大切かと思います。

 

片麻痺歩行の問題点に優先順位をつけるときは、

「どの歩行フェーズに転倒の危険があるか?」

=セラピー対象となる構成要素はどこか?

ここは重要なポイントです。

課題や環境に合わせて適切なタイミング・強さで適応できれば、転倒せずに歩行ができますよね。

片麻痺歩行の体幹を考える

下肢筋活動は体幹の影響も受けます。下肢と体幹の関連性を考えることが必要です。

例えば、過度に体幹を側屈させて歩くと下肢にかかる力も非対称となります。

上の図から大切なポイントは、

「COMが水平・垂直を維持しながら前方に推進していること」である点かと思います。

 

脳卒中後のケースの体幹を考えると、

・非対称性:側屈や回旋
・持続的な伸展活動の不足:屈曲
・不安定性:傾き、動揺、崩れ

これらが複合した状態であることが多いです。

 

「COMは垂直水平を維持できているか」

下肢と体幹の関連性を考えつつ分析する必要があります。

 

まとめ

本日は、歩行における下肢筋活性化パターンについて考えました。

脳卒中後の歩行は、下肢筋活動パターンを構成要素として捉え、体幹の関連性も考慮しつつ分析していくことが大切といえます。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

 

References

1.Francesco Lacquaniti,et al. Patterned control of human locomotion.J Physiol. 2012 

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