【肩関節】筋肉のつっぱり「痙縮」

脳卒中後の片麻痺者は、姿勢保持や歩行、上肢機能にさまざまな制限が生じます。

麻痺による上肢筋群の過活動は、臨床場面でも観察されることが多いです。

・歩くと腕が曲がる
・肩が開かない・伸びない
・着替えが大変

特に肩関節筋の過活動では、リーチ&グラスプ、歩行、バランス、日常生活の場面で多くの制限となります。

はじめに、痙縮の定義から確認していきます。

痙縮の定義

「速度依存的」の観点は、非常に重要と言えます。

日常生活動作を考えてみます。

更衣動作の袖通しに援助が必要かもしれません。

腋窩の清拭に援助を要することもあるかと思います。

寝返り動作に上肢から援助することがあります。

痙縮の視点で考えると、これらの動作に素早く肩を伸ばすような援助は控えるべきと言えます。

【肩関節内転内旋】過活動を示す可能性のある筋群

肩関節内転内旋の過活動を示す筋群を確認します。

肩関節が開きにくいときは、4つの筋群を確認しましょう。

特に大胸筋や広背筋は大きな筋肉ですので、エリアによって過活動と低緊張が混在していることも経験します。

一つ一つ丁寧に確認していきましょう。

【肩関節屈曲制限】寄与する可能性のある筋群

肩関節の屈曲制限に寄与する筋群も確認しましょう。

各筋群の走行を理解し、上肢の援助につなげていくことが大切と言えます。

また、拮抗筋の弱化・粘弾性の低下についてもあわせて確認していくとも重要です。

バランスと上肢機能

バランスと上肢機能を考えることも大切です。

脳卒中後の片麻痺者は、股関節戦略(図の真ん中)でのバランス戦略となる方が多いです。

股関節戦略でのバランス反応は、肘関節は屈曲し、上肢のバランスへの貢献が大きいと言えます。

また、下肢の不安定性のため、柵を強く掴むなど過剰な上肢の過活動へつながっている方も少なくありません。

つまり、上肢の筋過活動の要因が、下肢体幹にあることがあります。

この場合、下肢体幹のセラピーを展開しながら、上肢機能を分析していくことが大切です。

まとめ

本日は、【肩関節】筋肉のつっぱり「痙縮」について、まとめました。

肩関節の筋過活動は、日常生活の制限に大きく影響します。

関連する筋肉の理解し、援助を工夫していくことも大切な視点かと思います。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.Angshuman Mukherjee,et al.Spasticity Mechanisms – for the Clinician.frontiers in neurology.2010

2.Nathaniel H. Mayer,et al.Muscle overactivity and movement dysfunction in the upper motoneuron syndrome.Phys Med Rehabil Clin N Am.2003

3.Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott,  Motor Control: Translating Research Into Clinical Practice.Lippincott Williams & Wilkins, 2007-p166

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