【片麻痺】リーチ動作における体幹代償を考える

片麻痺者はリーチ動作に体幹の代償をともなうことがあります。

・上肢挙上時の体幹伸展・側屈
・目標物と接触するための体幹屈曲

体幹の代償動作により、目標物の把持を達成するために必要なことはあります。

上肢機能の回復を考えると、上肢の自由度を高め多様なバリエーションで使える手を獲得することが大切と言えます。

セラピストの役割である機能回復を提供するため、リーチ動作における体幹代償を考えていきます。

【片麻痺】リーチ動作の特徴

片麻痺者のリーチ動作の特徴[1]が示されています。

リーチ動作の左右差を観察してみます。

上肢活動の観察分析から、リーチの軌跡やスピード、タイミングに違いがみられることが多いです。

体幹代償は上肢機能を補うように出現します。

体幹代償は、いつ・どこで・どのように起きているか個別に分析することが大切です。

リーチ動作における体幹抑制の影響

リーチ動作における体幹抑制の影響を考慮し、セラピー課題・環境を工夫することがポイントです。

口頭指示で体幹固定を支持された場合にくらべ、物理的に体幹を固定した場合の上肢機能の改善[2]が示されています。

上肢課題を実施するセラピー環境を考えるヒントになります。

体幹の固定により、上肢の自由度を高めることが課題達成に求められます。

臨床経験では、体幹固定により、上肢の運動制限・痛みがみられることがありました。

体幹の動きが制限されることで、実は上肢自体の動きの少ないことに気付かされます。

これは、体幹代償を見落としていたことになります。

課題環境を設定するときに、体幹の影響を工夫するとより良い改善につながる可能性があります。

骨盤アライメントと腹横筋の働き

上肢課題時の体幹固定をどのようにしたら良いか。

ひとつのアイデアは、骨盤・腰椎をニュートラルな姿勢で設定できると良いと考えます。

リーチに伴う姿勢調整に、腹横筋は重要な役割を果たします。

片麻痺者においては、腹横筋の弱化・遅れを呈するケースを経験します。

随意運動における、体幹近位筋の姿勢調整を考慮したアライメント・固定位置・固定物品を選択することが大切と考えます。

まとめ

本日は、【片麻痺】リーチ動作における体幹代償を考えるというテーマで書きました。

上肢の機能回復を考えると、動作達成のみならず、本来手の持つ多様性を可能にすることが大切と考えます。

体幹代償を分析するために、セラピー課題・環境を工夫できると良いかと思います。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

References

1.P Archambault et al. Recruitment and sequencing of different degrees of freedom during pointing movements involving the trunk in healthy and hemiparetic subjects.Exp Brain Res.1999

2.Stella M Michaelsen  et al.Short-term effects of practice with trunk restraint on reaching movements in patients with chronic stroke: a controlled trial Stroke. 2004

3.Angelica Reeve et al.Effects of posture on the thickness of transversus abdominis in pain-free subjects.ManualTherapy.2009

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